あらすじ
石井さだよし(「解体屋ゲン」「素振りの徳造」他)の初期作品を収録した短編集、第1弾!町で噂のスポーツドクター・高中高行は、患者の身体の痛みだけでなく、心の痛みもすべからく引き受ける熱血漢。彼の元には、元高校球児のお爺さん草野球チーム、腕の故障からスランプに陥った柔道選手、引退に悩む子持ちのプロボクサー、といった悩めるスポーツマンたちが集う。高中はそんな彼らの“怪我”を、確かな腕と熱意を以て癒し治療していく。(表題作「べらん名医」)他、とある女性下着メーカーを舞台に商品企画部のトリックスター・尾岡の活躍を描いた「ウドの達人」も収録!
表紙とタイトルで、飲んだくれの医者のように勘違いしていたが全然そんなことはなく、ちょっとガサツだけど患者の気持ちに寄り添う心温まるスポーツドクターの物語だ。作画は『解体屋ゲン』でおなじみ石井さだよし先生で、大昔の初期作品を収録した短編集となる。初出は書かれてなかったけど、まんがSeekで調べたらビッグコミックオリジナルで1974、1989、1990年と不定期に載っていた作品とのこと。 https://mangaseek.net/work/18278.html 人情ドラマであると同時に、スポーツと医学の関係についてもしっかりと描かれていて、最後の方にはブラインドサッカーらしき選手が登場するなど、現代から見るとかなり時代を先取っていた作品だったのではないか。作画についても1コマ1コマがきっちりと描かれていて、この時代のアナログで描かれた漫画の手仕事って本当に素晴らしいなあと思う。同時収録の「ウドの達人」はやや時代を感じてしまう内容で、好みは別れるところかも。 スポーツドクター漫画で言うと、『ドクターメシア』『ドクターゼロス』『ママはスポーツドクター』など読んできたが、作品数は多くないけど、いずれもハズレなしの面白い作品の多いジャンルだと思った。