あらすじ

「僕はずっとユウさんといるよ、ユウさんの味方だよ」ユウを貶める謎の手紙が届き始めたことで、ユウは悪夢を見るなど、不安定になり、ますます、書けなくなっていく。ユウを励まし続けるエルだが、ある日、取材を受けた際にフィクションに近い作品をほめる取材者に怒り、さらにノンフィクションは書けないとユウに告げられたその夜、エルはキッチンを破壊してしまう。エルの異常性を感じつつも、書くためにふたりは別荘へと向かう――。
私の彼女 上

小説家の金森ユウは、母の自死を題材にした小説を出版した。それが賞をもらい、話題となり、サイン会を開くまでになった。その帰り道、ユウは不思議な女の子・エルに出会う。しかし、ユウはその後から、小説が書けなくなってしまい、苦しむ。そんな彼女を励まし、支えてくれたエルと徐々に距離が縮まり親しくなっていくが――!?見逃せない南Q太の新境地!

私の彼女 下

「僕はずっとユウさんといるよ、ユウさんの味方だよ」ユウを貶める謎の手紙が届き始めたことで、ユウは悪夢を見るなど、不安定になり、ますます、書けなくなっていく。ユウを励まし続けるエルだが、ある日、取材を受けた際にフィクションに近い作品をほめる取材者に怒り、さらにノンフィクションは書けないとユウに告げられたその夜、エルはキッチンを破壊してしまう。エルの異常性を感じつつも、書くためにふたりは別荘へと向かう――。

私の彼女

小説家とそのファンの束縛百合…

私の彼女 南Q太 デルフィーヌ・ド・ヴィガン
ANAGUMA
ANAGUMA

ときいて飛びついてしまったのですがことはそう単純ではありません。 ベストセラーを書き上げたあと、スランプに陥った主人公の小説家・ユウが出会ったのは自身のファンを名乗る不思議な女性・エル。お互いの悩みや身上を打ち明けるうちにふたりの距離はどんどん近づいていき、エルは書けなくなってしまったユウに対してゴーストライターを申し出ます。 生活と創作の両側面に入り込んでくるエルの存在。ユウは心身ともに大きく揺り動かされることに…と途中からヤバそうな空気がじわじわ漂い始めて読むのが止まらなくなりました。 ふたりが支え合っている姿に心を温められつつも、何が起こるのか常にゾクゾク…というふたつの意味で目が離せません。 ユウに度々送られてくるストーカーらしき手紙や、エルの性格の掴みどころのなさが洋画テイストといいましょうか、サスペンスの緊張感を演出していてよいです。この辺りの味わいはもしかしたら原作小説の『デルフィーヌの友情』からきているものなのかも? とはいえあとがきにもあるように原作とは物語の進め方がかなり違っているようです。『デルフィーヌ〜』そのものがまさに作家の自伝風に書かれた小説らしく、ユウのキャラクターとも重なってくるところがあり、こちらもどんな作品なのか読んでみたくなりました。