あらすじ時は大正。映画がまだ活動写真と呼ばれていた時代。活動弁士・現橋虹声こと功四郎のもとに嫁いだ花絵は、つつましくも幸せな新婚生活を送っていた。ある日、街で出会った映画監督の山城に才を見出されて活動写真に出演することになった花絵だったが、撮影途中で心の奥底に隠していた傷に触れ意識を失ってしまう。それは全てを奪った震災の、あの日の記憶。悲しみに暮れる妻を前に功四郎は一つの誓いを立てるのだが…。
この作品の舞台である大正時代、映画は“活動写真”と呼ばれる音のない無声映画しかなく、上映されている横で映画の内容を解説して盛り立てる“活動弁士”が人気を博していました。 この作品は「活弁王子」とも呼ばれている人気活動弁士の高階功四郎と、彼と結婚した8歳年下の女性・一之坂花絵との結婚生活を描く作品です。 実は2人の結婚は、名門華族だったが関東大震災の影響で没落してしまった一之坂家と、短期間で富を築き成金となったために名家との繋がりを欲した高階家、という双方の家の思惑が一致して結ばれた、政略結婚のようなものでした。 そのため2人の結婚生活は、「これは相手が望まぬ結婚ではないか」と互いが互いのことを気遣うせいでぎこちない雰囲気から始まるのですが、その気遣いの心が少しずつ相手への好意へと変わっていく様子が伝わってきます。 この物語はそんな2人が本当の意味での夫婦としての関係を築いていく様子を描く、“愛無き結婚から始まる恋の物語“です。 1巻まで読了