あらすじ「私のDNAの半分を構成するもの」 成績優秀、容姿端麗で少しミステリアスな雰囲気を持つ女子高生・森井飛鳥と、その母親の森井綾子。二人はどこからどう見ても普通の親子だが、実は娘の飛鳥は母親である綾子に親子以上の感情を抱いている。どうして肉親を好きになってはいけないのか?家族愛と恋愛の違いとは? 実母に抱く二つの感情の間で揺れ動く主人公の姿を描く、近親純愛ラブストーリー。
母。私の半分を構成するもの。 母。私の半分が愛したもの。 いつからか母親に恋している女子高生。彼女はずっと「半分」に引き裂かれて苦しんでいる。 肉親への親愛と、どうしようもない恋情。甘えたさと性欲。肉親への恋は私には経験が無いが、彼女の苦しみには、理解できる部分がある。それは、自分の愛が相手を苦しめる事への葛藤。 娘の恋心に、母が応えることは出来ない"はず"だから。 好きでいてはいけない人を、好きでいる事の苦しみは、破局と隣り合わせの切なさ。目の前の人が、振り向いてくれる可能性はほぼゼロ。恋を口に出せば、その時が終わりかもしれない。 しかし、私にかろうじて期待を持たせるのは、母親と娘のモノローグが重なる所。 娘を想う気持ちは強い母。娘離れはできていない様子。そして過去に「女性と」何かあった事が示唆されると、母親の百合物語としても、娘の感情の根拠としても(娘曰く「私の母は毎朝性的」らしいので)何が提示されるのだろうと、先にかすかな希望が見える気がする。