あらすじ
「あの世へようこそ。あなたは死んだんだよ。」 せりは出会った少女に自分が死んだことを唐突に告げられた。自身の死因も思い出せぬまま、「あの世」で死者の魂の記憶の管理人・まこの手伝いをすることに。まこから温かく接してもらっているうちに、次第にあの世での生活にも慣れてきたせりだったが、まこの本当の仕事を目の当たりにしてしまい――。(表題作「魂の関所にて」) 百合アンソロジー「Avalon」シリーズに掲載され 大きく反響を呼んだ表題作「魂の関所にて」に加え、緻密な世界観と圧倒的な迫力で描写される SFガールミーツガール「魔女と女王」の大型短編2作を収録! girls×gardenデビューの新鋭が放つ 渾身の初単行本! 電子版限定特典として描き下ろしカラーイラスト1枚付き!
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中編2つ+それぞれの後日譚が収められた作品集。いずれも人間からは少しずれた存在がもつ「心」の、少し普通ではなくてかなり大きな有り様が描かれていて、心を揺さぶられる。 ●魔王と女王 時を止めた遺跡の街を守る「女王」を街の外に連れ出したい「魔女」の物語。 複雑に前後する語りと細かな設定に幻惑されるが、街の謎を解き女王を解放しようとする魔女の、軽い様で真っ直ぐな想いに打たれる。そして無表情な〈つくりものの〉女王に、却って〈心〉の動きを想像してしまう。 ●魂の関所にて 死者の魂を管理する所で、仕事をしながら自分の死因を思い出せずにいる新人の女性と、彼女を気にかける先輩の女性。 新人の過去話……身分違いの女性との複雑な関係性は切ない。そこに寄り添う先輩は後輩に強い想いがあるのは確かなのだが、その理由が見えて来ない。和風な死後の世界の美しさを目で楽しみながらも、優しさと不安感がひしひしと胸に来る。