あらすじ時は昭和初期、東京・銀座。日本初の女性探偵・美津子とその助手で吉田百貨店の御曹司である朔は、忙しい日々を過ごしていた。ロンドンで列車事故に巻き込まれ、記憶喪失になった朔の兄・人哉が帰国した。心配する朔だが、人哉は何かを隠している様子。美津子と朔は調査を開始し、年配の女性が載ったポスターと電車の切符から、“エリーザ”という女性のもとへ向かおうとしていたのではないかと推理するが・・・・・・。血のつながらない家族、身分差の恋、HSP――生きづらさを感じているすべての人へ贈る、昭和モダンミステリー。
この作品は女性が外で働くことがまだ一般的でなかった昭和初期の日本を舞台に、女性探偵として働く星野美津子と、彼女が依頼人として出会った大学生の吉田朔というコンビの活躍を描く作品です。 昭和初期という舞台でありますが、登場する事件はトランスジェンダーや女性の社会進出など、どこか現代にも通じる問題を孕んでいるものばかりです。 そんな事件の数々を、自身も夢であった警察官への道を"女性である"という理由だけで諦めた過去を持つ美津子が、謎めいた雰囲気の朔が解決へと導いていく、謎を解決する痛快さと生きづらさを抱えている人々を優しく包む温かさを併せ持った作品です。 1巻まで読了