早くに亡くなった父の面影を追って家出した少女・カナ。何事も長続きしなかった父だったが、その存在に魅了され研究を続けていたのは、奈良の公園の池で偶然発見されたニッポンバラタナゴ(ペタキン)。父は、なぜそこまでペタキンの研究にのめりこんだのか。一度は絶滅したと思われたペタキンと、ペタキンの命を後世に渡した自然、そして自然に関わる人々。父と同じように、うまく生きることができないと思っていたカナだったが、ペタキンの保護活動を続ける大学生たち、それぞれの思いを抱いて自然に向き合う地域の人々との関わりができつつあった。小学校の学校医を描いた大ヒット作『放課後カルテ』の日生マユ、最新刊!
舞台は奈良県にある日ノ郷(ひのさと)大学の農学部。 3回生の浅葉レイは生き物への愛は人一倍あるものの、その愛ゆえに命に"責任"を持つことができず、研究活動に気持ちを向けることができないでいました。 そんな彼は調査中の池の近くで女子中学生・樫原(かしわら)カナと出会います。 カナの父親はかつて日ノ郷大学で生物学者をしていましたが、彼女が物心つく前に家を出ていき、そのまま帰らぬ人となっていました。 そしてカナは幼い自分を捨てて研究を選んだ父親に対する憎しみとも怒りともつかない感情をぶつけるためにこの大学までやってきたのでした。 この作品はこのようにそれぞれ異なる意味で自らの進む道に迷っていた2人が出会い成長をしていく姿が描かれるヒューマンドラマです。 また、農学部の研究室が舞台ということで、実在する絶滅危惧種の魚が登場するなど、専門的な内容も描かれていて、物語を楽しむ過程で新たな知識も得られる、そんな作品になっています。 1巻まで読了