あらすじ京都芸大の現代音楽研究会で、作曲にのめり込む朔。朔は、同じ音の感覚を持つ凪と惹かれあうようになる。しかし、そんな幸福な時間にも、否応なく未来がつきつけられる――。『神童』『マエストロ』に続く音楽シリーズ第3作!!
「神童」ではピアノ、「マエストロ」ではオーケストラ、そして音楽3部作のラスト「ミュジコフィリア」では現代音楽と作曲がテーマになっています。現代音楽も作曲もあまり馴染みのないマニアック度の高そうなテーマですが、読んでいて音楽が流れてくるような感覚になれるのは他の2作品と同じでした。しかも「ミュジコフィリア」は音楽だけでなく偉大な作曲家の父を持つ腹違いの兄弟の確執も見どころです。主人公は音楽の才能に恵まれているものの愛人の子供なので環境に恵まれた兄に引け目を感じてしまい、あえて音楽を避けて生きてきたのです。しかし現代音楽と出会ったことで自分の音楽への想いに向き合っていくようになります。優秀な学生を集めて作曲合宿をするシーンでは「未聴感の音楽とは?」について語られるのですが、まさに「いい漫画とは何か?」と一緒だと思いました。ここについてもっと掘り下げて知りたい人はさそう先生の「マンガ脚本概論 漫画家を志すすべての人へ」を読むことをオススメします。