あらすじ19世紀・ヴィクトリア朝初期のロンドンで、女性ばかりを狙った連続殺人事件が発生。現場では、高笑いしながら跳び去る怪人の姿が目撃されていた。3年前、夜道で女性たちを驚かせたという「バネ足ジャック」が殺人鬼となって帰ってきたのか?事件を追うロンドン警視庁の警部は、意を決してある「貴族」の館へ馬車を飛ばす……。『うしおととら』『からくりサーカス』の藤田和日郎、新境地。熱き活劇の名手が奏でる怪奇と冒険と浪漫の協奏曲(コンチェルト)!
藤田和日郎作品大好きな自分が藤田マンガをオススメするときにいつも困るのが「めちゃくちゃ巻数ある」ということ。うしとら33巻、からサー43巻、月光条例29巻、双亡亭25巻。いきなり読んでもらうにはさすがにハードル高いですよね(でも全部読んでくれ)。 そんなわけでこの黒博物館『ブラック・ミュージアム』シリーズは藤田和日郎入門にピッタリかと思います。 第一作「スプリンガルド」は1巻完結、第二作「ゴーストアンドレディ」も全2巻、現在合計3巻とコンパクト。 https://manba.co.jp/boards/11724 メインの舞台装置はロンドン・スコットランドヤード所管の黒博物館。 さまざまな犯罪にまつわる証拠品や資料が収蔵された怪しい雰囲気の博物館にこれまた怪しい雰囲気のキュレーター(学芸員)が勤めており、読者は博物館の入館者とともに収蔵品の秘密に迫る…というのが基本の流れ。 ブラック・ミュージアムは実際に存在する施設だけあって、毎回歴史上の事件や人物が登場するリアリティのある描写も大きな魅力です。 https://youtu.be/lRusAqLia1U 「スプリンガルド」ではロンドンを騒がせたバネ足男の怪奇、「ゴーストアンドレディ」では劇場に住み着いた幽霊ととある女性の出会いを描いていて、それぞれ独立したオムニバスのシリーズになっています。読みやすいですね!(アピール) さらに2022年3月現在、モーニングで新シリーズ「三日月よ、怪物と踊れ」の連載も始まりました。既存の3冊を読んだころには新作にスムーズに合流できる、まさに「今最もちょうどいい藤田作品」が黒博物館シリーズなのは間違いないでしょう。 https://manba.co.jp/boards/156757 …というかうかうかしているとまたすぐ次の長期連載が始まるか、なんならちょっと目を離した隙にこの黒博物館シリーズ自体が10作以上増えているかもしれん!「ちょうど今」なんです、マジで! 以上、藤田和日郎沼に浸かろうという方はまずはこの黒博物館に入館してみては…読み終わる頃にはミステリアスなキュレーターさんと謎に満ちた収蔵品の物語の虜になっているはず。