あらすじ長州征伐での将軍上洛を老中に促すため、江戸を目指していた近藤、永倉たち4人。船と駕籠を乗り継ぎ、久しぶりに江戸へ着いた近藤たちは、一足先に新隊士募集のため江戸入りしていた藤堂平助と再会。そこで平助が強く薦める人物を訪ねることになるが、目の前に現れたのは香を焚き込め、女のような格好をした伊東大蔵(甲子太郎)という男で…。士道を心に抱く男たちの生き様を描いた青春物語、感動の最終巻!!
男子は一生に一度は幕末に憧れる、なんてよく聞きます。私もこの時代は大好きで、このコーナーでも坂本竜馬、小栗上野介、桂小五郎を主人公にした漫画を紹介してきました。今回はそんな幕末英雄譚の中でも最も好きな新選組、鬼の副長・土方歳三を取り上げてみようと思います。新選組といっても実はこの作品、多くのページを割いているのはそれ以前の歳三の多摩時代。このパートで描かれるのは彼の武士道を追求するゆるぎない信念がどのように培われたか、近藤勇や竜馬との出会いで何を身に刻んだかということです。そこがタイトルの「月明星稀」―月明らかに星稀なり―にかかってくる。このテーマが見えてくるくだりはこれぞ武士道、という感じでシビれます。そして本来ならこの後が「さよなら新選組」という副題にもかかるはずですが、残念ながら伊東甲子太郎が登場したところで雑誌連載は打ち切り。新見錦や斎藤一の独創的な設定や、芹沢鴨暗殺までのくだりなど目を見張るものがあっただけに箱館まで見たかったというのが正直な本音ですが、男の魅力的な生きざまは存分に堪能できると思います。