あらすじ政治的迫害や生活苦にも負けぬ愛国心で、多くの名詩を書き残した“屈原”。君主の心意を知り抜いた戦術・戦略で、秦国の天下統一の中、最大の功績を収めた“王翦(おうせん)”。越王への恋心に揺れながら、3千人の荊棘兵(けいきょくへい)を育て上げた女“處女(しょじょ)”。旧来の価値観や因習がすべて葬り去られた春秋戦国時代に、自分の信念を貫き通し歴史を作り上げてきた英雄達。台湾のトップ作家鄭問(チェンウェン)が描く、熱き人間ドラマが今燃え上がる。
前に原正人さんが主宰される「世界のマンガについてゆるーく考える会」で知った作品。積読していたのをふと思い出し読んでみたところ圧倒されました。 昔の映画の看板のような画風の表紙からは想像できませんが、本編の作画は伝統的な中国の水墨画と日本の漫画表現のハイブリッド。 筆の強弱がとにかく魅力的で、力強い荒々しさと繊細な美しさの両方が楽しめます。 春秋戦国時代の故事がテーマなので全体的に古風で硬い雰囲気があるのですが、ところどころに如何に漫画っぽい表現がありクスリとさせられます。 (第二話の「おれの舌はまだあるか? 張儀」の、旅館のオッサンが竹槍を片手にパンパン打ち付けながらプンスカ憤ってるところとか大好きです) 表紙の「モーニングKC」の文字に驚いたのですが、こんな超絶技巧の美しい芸術作品のような漫画が週刊連載でモーニングに載っていたとは信じられません。すごすぎる。 先程Wikipediaを読み、鄭問先生(台湾出身)が2017年に亡くなられていると知り好きな人がもうこの世にいない寂しさを今噛み締めています…。 久々に「この作品に出会えて良かったな」と思える素晴らしい漫画を読みました。やはり積読は解消するものですね。