気性の激しさと、恨みと不信の子供時代が、天下を呑み干す基盤となった“秦の始皇帝”。天女のような並はずれた美しさゆえに、犠牲の人生を強いられ、翻弄された“西施(せいし)”。門番の老人にも教えを請い、隣国の人望をも集め、天下に比類なしとまで名を轟かせた“無忌(むき)”。……才覚でのしあがり、世を動かした者。才能をうとまれ、せめぎあう策略に利用された者。中国の春秋戦国時代に、燃焼するように生きた英雄達が、今、蘇る!
理想と秩序だけが支配する世界の実現を目指す魔界の子・理想王と、あらゆる厄災をもたらす疫病神・百兵衛の対決!日本漫画界に霹靂(へきれき)の如く衝撃を与えた台湾の巨星・鄭問(チェンウェン)が描く神秘世界!魑魅魍魎(ちみもうりょう)が乱舞する――!!
前に原正人さんが主宰される「世界のマンガについてゆるーく考える会」で知った作品。積読していたのをふと思い出し読んでみたところ圧倒されました。 昔の映画の看板のような画風の表紙からは想像できませんが、本編の作画は伝統的な中国の水墨画と日本の漫画表現のハイブリッド。 筆の強弱がとにかく魅力的で、力強い荒々しさと繊細な美しさの両方が楽しめます。 春秋戦国時代の故事がテーマなので全体的に古風で硬い雰囲気があるのですが、ところどころに如何に漫画っぽい表現がありクスリとさせられます。 (第二話の「おれの舌はまだあるか? 張儀」の、旅館のオッサンが竹槍を片手にパンパン打ち付けながらプンスカ憤ってるところとか大好きです) 表紙の「モーニングKC」の文字に驚いたのですが、こんな超絶技巧の美しい芸術作品のような漫画が週刊連載でモーニングに載っていたとは信じられません。すごすぎる。 先程Wikipediaを読み、鄭問先生(台湾出身)が2017年に亡くなられていると知り好きな人がもうこの世にいない寂しさを今噛み締めています…。 久々に「この作品に出会えて良かったな」と思える素晴らしい漫画を読みました。やはり積読は解消するものですね。
『東周英雄伝』の鄭問(チェン・ウェン)の訃報は、一昨年のことだったか。 とんでもない「絵」を持った漫画家だった。 今さらだが、心から哀悼の意を捧げたい。 80年代後半から90年代前半、講談社のモーニングは、かなり精力的に海外の漫画を掲載していて、その野心的な試みは、今もバンドデシネ(フランスの漫画)のフィールド等では結構伝説的に語られることがあるのだが、そうした中で、もっとも衝撃的だった才能こそ、鄭問だった。 「こんなに絵の上手い漫画家が、台湾にはいるのか!?」と圧倒されたのを鮮烈に覚えている。 西洋画の奥行きを自家薬籠中のものにしながら、東洋の伝統的な水墨画のテイストを自在に操るその驚異の筆使いは、日本の漫画読者の芯を直撃しつつ、激しく揺さぶってくる。 本当に惚れ惚れする。 その作風からすれば、かなり手堅い印象の企画である『東周英雄伝』の好評を受けて始まった本作『深く美しいアジア』は、オリジナルのファンタジーだ。 世界設定は大陸的な伝奇物テイストでかなりブッ飛んでいるし、ナンセンスな味わいもあって、一筋縄ではいかないこの漫画家の器の大きさが感じられ、とても楽しい。 すごい漫画家が、世界にはいっぱいいるんだなあ。
基本史記の話が多けど、こっちの方がより深い描写をしている。 三百野人のエピソードが好き
前に原正人さんが主宰される「世界のマンガについてゆるーく考える会」で知った作品。積読していたのをふと思い出し読んでみたところ圧倒されました。 昔の映画の看板のような画風の表紙からは想像できませんが、本編の作画は伝統的な中国の水墨画と日本の漫画表現のハイブリッド。 筆の強弱がとにかく魅力的で、力強い荒々しさと繊細な美しさの両方が楽しめます。 春秋戦国時代の故事がテーマなので全体的に古風で硬い雰囲気があるのですが、ところどころに如何に漫画っぽい表現がありクスリとさせられます。 (第二話の「おれの舌はまだあるか? 張儀」の、旅館のオッサンが竹槍を片手にパンパン打ち付けながらプンスカ憤ってるところとか大好きです) 表紙の「モーニングKC」の文字に驚いたのですが、こんな超絶技巧の美しい芸術作品のような漫画が週刊連載でモーニングに載っていたとは信じられません。すごすぎる。 先程Wikipediaを読み、鄭問先生(台湾出身)が2017年に亡くなられていると知り好きな人がもうこの世にいない寂しさを今噛み締めています…。 久々に「この作品に出会えて良かったな」と思える素晴らしい漫画を読みました。やはり積読は解消するものですね。