あらすじ300年にわたりスペインに統治され、母国語も取り上げられた国フィリピン。人々は搾取され「原住民(インディオ)」と蔑まされて生きていた。そんな時代、マニラ郊外に生まれたホセ・リサールは、フィリピン人だということで人間的に劣っているのか? 武力ではなく知力でフィリピンの現状を変えることができないか? と考えるようになる。15か国語を解し、医師、小説家、画家とたぐいまれな才を持つ彼は、1冊の小説を書くことによって人々を革命へと導いていく!!
世界史で習う独立運動の英雄の1人だけどその詳しい生涯は知らなかったホセ・リサール。こんな圧倒的な存在だったんですね。 リサールが銃殺される処刑シーンから始まる第1話で一気に引き込まれました。 これだけの人物の生涯を10話に収め、かつ面白く魅せる物語構成の手腕がすごい。 重厚なストーリーを語るのにふさわしい、緻密で熱量のある絵がまた素晴らしくて惚れ惚れしてしまう。 300年にわたるスペイン支配からの独立を懸命に目指している19世紀フィリピンの革命の志士と民衆の姿に心を打たれる一方で、このあと史実ではアメリカと日本の手が及ぶんだよな……と考えてしまい切なくなりました。 この作品はテーマがテーマだけに、英語版も作られていた(はず)のでぜひ読み比べてしてみたい。 マンガ偉人伝として小中高の図書室に置いてほしい一冊です。