あらすじ黒船へ行動を起こした吉田松陰(よしだ・しょういん)と土方歳三(ひじかた・としぞう)。しかし、それは失敗に終わり、松陰たちは牢獄に送られる。松陰のことで落ち込む桂小五郎(かつら・こごろう)を、力づけようとした千葉さな子(ちば・さなこ)だったが、桂から一喝されて喧嘩をしてしまう。そして、坂本龍馬(さかもと・りょうま)から慰められたさな子は、龍馬を愛するようになり……!?
つかこうへい氏(2010年7月永眠)に影響を受けた人はさぞやたくさんいることでしょう。この漫画の原案であるマキノノゾミもその一人。私、この漫画以前に舞台の「HAPPY MAN」を観劇したことがありまして、そのぶっ飛びっぷりに、「ああ、つかだな」と思ったものです。役者が男闘組の「DAYBREAK」を歌いながら客席からでてくるんだもんなあ(前田耕陽主役だし)。それはともかく、その舞台を下地にして石渡治が生みだしたのがこの漫画。幕末の英雄・桂小五郎を主人公に、激しくかつコミカルに動乱期を描いていくのですが、まあ史実否定派の私でもここまで脚色していいものかと言えるほどの改変っぷり。吉田松陰は女性、それに恋する土方歳三、髭の生えた竜馬にドエロな千葉さな子。極めつけは京都守護職・松平容保で裏の顔は劇作家のつかこうべいときたもんだ。明らかなでたらめで、大好きですこれ。でも決しておちゃらけではなく、そんな彼らが、誰もがハッピーに生きられる世を作るために奔走する異説幕末譚。最後が切ないですが、こんなアナザー・ストーリーもあっていいんじゃないでしょうか。