あらすじ女装をしてセルフポートレートを撮る高校生・池田由紀。理想の女性像を水面の中に見出す由紀は水面の女の子らしい立ち振る舞いを模倣(コピー)して、少しずつ女性らしさをモノにしていく。由紀とは距離をおき成長することを決めた左。一方で由紀と水面は急接近するが、ある日鏡に映った自分に惹かれていることに気づいてしまう由紀は――。同時収録『妹は優等生2・眠りの姫』
思春期の恋愛の真理がぜんぶ詰まっている。 相手を愛おしく思うような、大切に思うような、そんな恋愛なんて最初からできる訳がない。 自分の中にある理想像を誰かに押し付けて、こうであってほしい、こうやって愛してほしいという傲慢さを振りかざすような恋愛。性欲と憧憬と独占欲が入り混じってどろどろした薄暗い恋愛。 大人になんかなりたくないと思っていたけれど、大人になると楽になる部分もある。 由紀をクズだと笑えないし、左ちゃんも水面もそんな男やめなよなんて言えない。 みんな切実で愚かで一生懸命で愛おしい。 ラストシーンは賛否両論を呼んだようですが、わたしはとても好きです。どうしようもなくて美しい台詞だと思う。 大人になんかならないで。