あらすじ

ペパーミントグリーンのボクのハートの分子とストロベリーピンクのカノジョのハートの分子がひとつのハートを作った。ベースは男と女。エッセンスに恋と音楽と季節の風を配合した、ハートカクテル。心地好く酔わせます。
ハートカクテル(1)
カノジョが出ていった翌日からネコがしゃべり出した。ボクの問いかけに対してネコは言う。「その質問は36回目だよ」――。風見鶏は北北西を向いたまま動かなかった。かすかな風はタンポポの落下傘を南西に流し、午睡中のカノジョの前髪を垂らした――。ベースは男と女。エッセンスに恋と音楽と季節の風を配合した、ハートカクテル。心地好く酔わせます。
ハートカクテル(2)
ペパーミントグリーンのボクのハートの分子とストロベリーピンクのカノジョのハートの分子がひとつのハートを作った。ベースは男と女。エッセンスに恋と音楽と季節の風を配合した、ハートカクテル。心地好く酔わせます。
ハートカクテル(3)
一箱のリンゴが送られて来た。送り主は雪国のMという女性だった。そのリンゴが届いた瞬間わかったんだ。ボクのハートのモヤモヤを構成しているものが。いつの間にかボクのハートの中にハート形の家が建てられていてハート形のドアの向こうにカノジョがいたんだ。ベースは男と女。エッセンスに恋と音楽と季節の風を配合した、ハートカクテル。心地好く酔わせます。
ハートカクテル(4)
213キロ離れているカノジョと半年ぶりに会う。時計を1時間遅らせて、ボクたちの25時間はスタートした――。やさしい男とやさしい女の間にも、いたずら心もめばえれば、すれ違いも起きる。恋の行方はスリリング。ハートカクテルは、さわやかな空気、幸せなまどろみ感を思い起こさせてくれます。
ハートカクテル(5)
カノジョはガッカリした表情でその店から出て来た。ボクと歩いているときに出会ったカシミア80%のコートに一目惚れのしたカノジョ。買い逃して白いゴムまりのようなため息を量産するカノジョにボクは耐え切れず…。ベースは男と女。エッセンスに恋と音楽と季節の風を配合した、『ハートカクテル』の恋物語。ハッピーエンドとは限らないけれど、穏やかな雲に包まれて眠るような、そんな幸せの余韻に浸れます。心地好く酔わせます。
ハートカクテル(6)
6ヵ月前、ボクが85%悪いケンカでカノジョが出ていった。ところが最近、ボクの留守中に時々カノジョはここを訪れているようだ。それはまるで5月の風のように――。ベースは男と女。エッセンスに恋と音楽と季節の風を配合した、ハートカクテル。心地好く酔わせます。
ハートカクテル(7)
明日の天気予報は下り坂。そして、明日は雨女のキミの結婚式。――晴れ男のボクからの最後のプレゼントは、青い空に輝く七色の橋。お受け取りください。『ハートカクテル』の恋物語、ハッピーエンドとは限らないけれど、穏やかな雲に包まれて眠るような、そんな幸せの余韻に浸れます。
ハートカクテル(8)
「好きだ」――ボクのその言葉はボクとカノジョの間に結晶体になって浮かんだ。カノジョは大きな瞳でそれを見つめ、そしてスローモーションで微笑んだ。ベースは男と女。エッセンスに恋と音楽と季節の風を配合した、『ハートカクテル』の恋物語。ハッピーエンドとは限らないけれど、穏やかな雲に包まれて眠るような、そんな幸せの余韻に浸れます。心地好く酔わせます。
ハートカクテル(9)
新調したスーツを着たカノジョは、今朝もあの男に心の中で「おはよう」を言う。ホームで電車を待つ間の一方的な3分間のデート。電車を降りたカノジョは、いつものカフェテラスへ。そのカノジョを見つめる一人の男。やはり新しいスーツを着て、心の中で声をかける。「おはよう」と――。軽やかなステップが似合う、なつかしくも甘くせつないリズムとメロディーが『ハートカクテル』から響く。澄んだ音にのせて、恋物語が舞います。
ハートカクテル(10)
男の下の階には花の好きな母娘が住んでいた。男は夢を見ていた。いい夢のようだ。夢の中の女性が振り返ろうとしたそのとき――。恋の予感がする夢だった…。ベースは男と女。エッセンスに恋と音楽と季節の風を配合した、『ハートカクテル』の恋物語。ハッピーエンドとは限らないけれど、穏やかな雲に包まれて眠るような、そんな幸せの余韻に浸れます。心地好く酔わせます。
ハートカクテル(11)
カノジョは仕事ではるか南へ行ってしまう。なぜ二人写った記念写真を撮らなかったのだろう。出発15分前、二人並んだスピード写真のボックスの中、カノジョはすまして、笑って、そして、泣いた――。四季が移り、風が変わるように、恋にもさまざまな表情がある。そして、心を満たす美しさとやさしさは、共通してひそんでいるのです。ベースは男と女。エッセンスに恋と音楽と季節の風を配合した、『ハートカクテル』の恋物語。
ハートカクテル サマーストーリーズ

ハートカクテル サマーストーリーズ

著者自らが厳選したハートカクテル決定版!! 都会的且つ洒脱な作風で、多くの読者を魅了してきた「ハートカクテル」(1983~1989年)。その膨大な作品の中から著者自からが厳選した傑作を「春」「夏」「秋」「冬」の季節ごとにまとめ、全4巻でお届けする最新のアンソロジーです。シリーズ第1弾となる本書「ハートカクテル サマーストーリーズ」では、夏が舞台となった作品25編を掲載しています。収録に当たっては、退色してしまった原稿を最新のデジタル技術で完全補正、さらに全ページの着彩を新規にやり直しています。きらめく真夏の太陽の輝きとさわやかに駆け抜ける風……、甘く切ないあのころの思い出が鮮やかによみがえる、決定版自選集となります。
なつのの京

なつのの京

京都が舞台のわたせせいぞう新作ストーリー わたせせいぞう最新作は少し不思議なハートフルストーリー! ●あらすじ 「彼女は持っていた。我々に届かない音楽が聴こえる耳を――」 バイオリン職人を目指したなつのが亡き母が営む祇園のお茶屋を継いで、3年の月日が経った。そんな彼女がある日、「父の音楽」を耳にしたとき―― この物語が始まった。●著者から 『なつのの京』は、僕が京都のお茶屋さんを描きたいなと思って始めた作品です。僕が通っていた頃の祇園はまだ平成の初め、夜の花見小路は本当に真っ暗だったのです。お茶屋さんに入っても、玄関はまだ薄暗くて… でも階段を上がって襖を開けると、舞妓さんや芸妓さんがいてパアッと一気に華やかになる。京都はそういう暗転・明転がすごいんです。