あらすじ

流動玲二の死後も現代の日本に留まり、郊外の住宅地で薬局を始めることにした魔女アルマ。アルマのもとには様々な人間が引きよせられる。自殺を決意した男がアルマの店を訪れた。会社を解雇され、家族も友達もなく、誰にも必要とされない彼は、まさにうだつのあがらぬ様を絵に描いたような男だった。ある日彼は劇団にスカウトされヒトラーを演じることになり、初めて人に必要とされる快感に酔った。その演技が最高潮に達した瞬間、彼の魂は時空を超えてヒトラーに乗り移った。
メフィスト(1)

次々と幼児を殺害し、降魔の儀式で生けにえに捧げる男流動玲二。彼の目的は悪魔の知恵を借りて全能の力を得ることにあった。流動はついに妊娠中のフィアンセを殺し、腹から胎児を取り出してその血を捧げた。「魔王サタンよ、我が願いを聞き届けさせたまえ!」。一方、中世末期のヨーロッパ。慈愛に満ちた魔女アルマはその力で貧しい村人たちのために尽くしていたが、魔女裁判にかけられはりつけに処せられた。アルマは肉体の死とともに永遠の生を得る。そして流動の降魔術に感応して現代に蘇った!

メフィスト(2)

婚約者とその胎内の我が子を犠牲にして魔女アルマを呼び出した流動玲二。流動は獄中でアルマを犯したが、アルマはそのショックから流動とともに中世の故郷へと時空を超えた。時の領主、ニコラ・レミは残虐非道なやり方で魔女狩りを行う異端審問官。アルマが本物の力を持った魔女であることを見抜いたレミは、アルマに徹底的な拷問を加える。流動はレミの側について生き延びようとするが、いつしかアルマとの間に心が通いあってくる。そしてレミ亡き後も時空を超えて2人のラブロマンスは展開されていく。

メフィスト(3)

流動玲二の死後も現代の日本に留まり、郊外の住宅地で薬局を始めることにした魔女アルマ。アルマのもとには様々な人間が引きよせられる。自殺を決意した男がアルマの店を訪れた。会社を解雇され、家族も友達もなく、誰にも必要とされない彼は、まさにうだつのあがらぬ様を絵に描いたような男だった。ある日彼は劇団にスカウトされヒトラーを演じることになり、初めて人に必要とされる快感に酔った。その演技が最高潮に達した瞬間、彼の魂は時空を超えてヒトラーに乗り移った。

メフィスト(4)

時空を超えて現代に蘇った魔女アルマ。都会の片隅で深夜営業の薬局を営むアルマのもとには心に病を持つ人々が次々に訪れる。1938年、日本軍の将校であった男は中国河南省の村を襲い、楡の木の下で1人の少年の首をはねた。それから50年、彼は外務省の役人として再び中国を訪れることになった。ふと立ち寄ったアルマの店で「中国の少年の撃った弾丸に命を奪われる」と予言される。河南省を訪れた彼は、1本の楡の木を見て、そこがかつて自分たちが襲った村であることを思い出した。

メフィスト(5)

中世から現代の日本に蘇った魔女アルマは、深夜営業の薬局を営んでいる。アルマは病める人々に数々の奇跡を起こす。自分は厚生省の人間だと言う男は、アルマが薬剤師免許を持ってない事を理由に、脅しにかかった。鈴木と名乗るその男は、実は製薬会社の研究員で、ライバルが自分の出世の妨げになると考え、毒殺しようとアルマに近づいて来たのだった。誰にも見破られないような毒薬を要求してきた男は、自分でその薬を飲むはめになり、自分が勤めていた会社に実験動物として送られた。

メフィスト(6)

黒瓜ミノルは、多くの若者の間で爆発的勢いで広まりつつある「唯魔教」の教祖である。しかし一方で教団は、家庭崩壊などの社会問題を引き起こしている。女性ルポライター美村ナオミは、教団の内幕を取材すべく入信したのだが、それから1カ月間連絡が途絶えた。アルマと美村の婚約者の秀樹は、彼女を救うため「唯魔教」に入信した。教団の実態は宗教とは名ばかりで、黒瓜教祖の後ろには悪魔メフィストフェレスが潜んでいた。黒瓜の人間的な心を知ったアルマは、メフィストフェレスと賭けをする。