あらすじマルピーとピアスが街で見つけた「マンガ家パブ」。興味本位で入店し、マルピーがアシスタントをしている蝶バブリ先生を指名すると、なんと本物より本物っぽいニセ者が現れ、作品や職場の雰囲気まで知り尽くしたトークを語ってきた!その店はたちまちマニアの間で大評判になり、炎尾燃もまた自分のニセ者がいるかどうかを確認すべく店へ向かうが…!?
自伝や実録漫画といわれると、はなから眉に唾をつけて読みます。どうせ嘘や誇張がいっぱい混ざってるんでしょ、だまされないぞ、という感じで。しかしこれが島本和彦の手によるものだと…。明らかに自分をモデルにした実録風漫画なのに「どこがホントのことなんだ?」と思ってしまう。逆説の美学を感じてしまいます。この「吼えペン」シリーズでは嘘キャラの立たせ方も秀逸で、もじった名前を付けて「え、あの人ってこんな人なの?」と思わせる、という仕掛けで押しまくってくる。例えば富士鷹ジュビロなんて、明らかにあの有名漫画家がモデル。で、フツーならそんな人のわけがないのに、まるで風貌どおりの極悪ピエロなんだといわんばかりの描写。うまいやり方もあったものです。で、3巻の最後にはその富士鷹と主人公の炎尾燃の合作漫画も収録されていて、これが真面目なんだかパロディーなんだか…。いやいや漫画家稼業がこんなハズはないぞ、なんて最後には思えなくなってしまいますよ、ホント。