あらすじ

仁科の地獄からのメッセージにより、天宮詩織の過去を知ってしまった谷口は呆然とします。詩織の恋敵・児島君子はさらに追い打ちをかけるように、詩織が三隅が死亡した事件に関わっていることを彼に告げます。そして深夜、何も知らずに谷口の家を訪れた詩織の目に、とんでもない光景が飛び込んできます――――――国営放送で記者をしていた父の意志をつぎ、テレビ業界に飛び込んだ詩織は、数々の困難を乗り越えて人気キャスターの座まで登り詰めました。三隅の事件が契機で追いこまれた彼女が、「まだやり残したことがある」と谷口に告げて向かった先は――――――電波の闇を暴く物語、堂々完結です!
電波の城 1巻

欲望渦巻くテレビ界。その片隅で倒産寸前の芸能事務所に、ひとりの謎の女が現れた。彼女の名は天宮詩織。北海道のFM局でアナウンサーをしていたが、テレビの世界で実力を試したいと考えて上京し、事務所社長の鯨岡平助と会う。だが、かつてはアイドルを多数輩出し、芸能界で敏腕を発揮した鯨岡も、今は所属タレントに見放され、借金取りに追われていて…。

電波の城 2巻

丸の内テレビの報道局記者・谷口ハジメは、行き過ぎた取材活動により、社内の査問委員会にかけられていた。処分を待つ間、彼が局内を歩いていると、以前に町中で一目惚れした詩織を見かけて驚き慌てる。谷口が名刺を差し出しつつ声をかけると、詩織もまた微笑んで握手を求めてきて…。

電波の城 3巻

TVデビュー当日の朝。詩織は、子供の頃に父親から芥川龍之介「河童」を読み聞かせてもらっていた夢を見た。そして気合いを入れて初出社するが、メインキャスター・角館にさっそく睨まれ、共演の女子アナと服が似ていると難癖をつけられる。しかも、着用を命じられた衣裳はなんと「河童の着ぐるみ」で…。

電波の城 4巻

天宮に影を落とす、札幌での半年前の出来事。当時、サッポロFMの局員だった天宮は、仁科という男から、ある株の購入を勧められ高額の利益を得る。だがそれはインサイダー取引に加担させようとした罠で、仁科はそれをネタに局と彼女を脅迫してきた。天宮は親しい間柄の社長・高輪に窮状を訴えるが、これらは全て天宮が仁科と組んで仕掛けた謀略で…。

電波の城(5)

予報が外れた罰ゲームで、隅田川の川下りをすることになった天宮。それを命じた角館ちず子もまた、新人時代はバラエティーに出演するアイドルアナだった。当時の敏腕プロデューサー・大場に従い、道化に徹したことで今の地位を築いた角館が、同じく道化を演じて頭角を現しつつある天宮を本気で潰そうと…。

電波の城(6)

角館との川下り対決に勝利した天宮の名は、業界関係者はもとより全国の視聴者に強烈な印象を焼き付けることになった。その反響は凄まじく、ネット上のみならず編成局の会議でも取りざたされるほどに。だが、この中継を低俗とみなすトップキャスター・本城律子は、天宮に対し厳しい視線を投げつけて…

電波の城(7)

丸の内テレビの報道特番に向けて、着々と準備を進めるトップキャスター・本城は、資料室に左遷されている元社会部記者・谷口に目をつける。柔軟な切り口で作られた彼のレポートを高く評価し、特番のスタッフに加わるよう示唆するも、突然の話に戸惑ってしまう谷口。そこで本城は番組参加の見返りとして、米国駐日大使までもが出席する政治家のパーティーに同席させ、“世界が動く瞬間”を見せると約束して…

電波の城(8)

ライバルの栗田アナを爆破テロから守り、一躍時の人となった天宮。局内でも彼女の評価は急上昇し、打ち切り寸前だった番組の視聴率も盛り返し始めた。だがテロで狙われた本人・栗田は、事件のショックから自宅にこもりきりに。そんな栗田を見舞った天宮は、言葉巧みに彼女を自らに心酔させて…!?

電波の城(9)

テレビ界の頂点を目指す天宮詩織の次の狙いは、格闘技番組「ソルジャー・コロッセウム」。だが、そこにはリングガールの女王・狩野静香がいた。太陽のような華でナンバー1に君臨する狩野に対し、月のような妖しい魅力をもつ天宮はナンバー2でも輝いてみせると意気込む。そんな対照的な2人の初顔合わせは…!?

電波の城(10)

トップキャスターである本城律子は年末の報道特番に向け、産業界を揺るがす究極のエコ燃料“エマルジョン”の実現性が高いというデータを入手する。このスクープを聞いた石油会社の専務を務める兄・征彦からは、既得権益を守るために「エマルジョンから手を引け」と忠告されるが、律子はジャーナリストの使命を全うし兄に徹底抗戦することを決意。一方、律子のもとでエマルジョンを追う谷口は…?

電波の城(11)

今年の女子アナMVP!!――バラエティから報道、お天気お姉さんまでフリーアナ・天宮詩織の人気は、さらに大晦日の格闘技特番で向かうところ敵なしのウナギのぼり状態!しかし、絶頂目前の天宮の前に再びトップキャスター・本城律子が立ちはだかる。テレビの腐敗を暴き、天宮を窮地に陥れる衝撃の告発番組とは!?権謀術数うずまくテレビ界に新たな激震が――

電波の城(12)

女子アナ成り上がり街道をひた走る天宮詩織だったが、抜擢された格闘技番組と暴力団との癒着を告発され絶体絶命のピンチ!突破口を探るため、変装した天宮が訪れたのは、なんと刑務所だった――さて、スキャンダルの後始末は武闘派極道との一騎打ち。大ピンチの修羅場に、着物姿で極道の女よろしく啖呵を切った天宮が超弩級のド根性で挑む大勝負!烈女伝説に新たなページが――週刊ビッグコミックスピリッツ強力連載中!単行本、第12弾!

電波の城(13)

新スタートのゴールデン大型報道番組にスポーツ担当のサブキャスターとして大抜擢され、今やキー局でひっぱりだこの天宮詩織。そんな天宮の過去と現在に、容赦なく土足で踏み込んで来るのは番組のメインキャスター、かつ「テレビ界の妖怪」の異名をとる立花哲人。一方、カルト宗教・聖レムリア教団の謎を追うフリー記者・三隅は、地道な取材を重ねて、天宮の出生の核心に刻々と迫っていく―――新番組も軌道に乗り始めたある日、立花は「大サプライズ」を残し、スタジオに帰らぬ人となる。「荒野の地雷原」と化した番組で天宮は―――

電波の城(14)

国民の知る権利を盾に騒動を起こす立花哲人。彼の行動の是非を世に問い、世論をうまく煽ることで一気に注目を浴びる“スーパーキャスター”本城律子。ふたりの巧みなコンビネーションを目の当たりにし、テレビ業界の報道の在り方を学ぶ天宮詩織は、着実にキャスターとしての資質を磨いていく。ローカル局の記者として独自の道を歩む谷口ハジメ。彼の実直さに魅かれ、急接近するのは…あの女性!!無事、番組に復帰した立花キャスターはオンエア中に聖レムリア教団に言及する。彼と教団の因縁を知った詩織は、幼き頃の忌まわしい体験を思い返す。それは彼女の父親に関する凄まじい事件であった!!

電波の城(15)

聖レムリア教団により監禁され、廃人同然となった実父を目の当たりにし、心の傷を負った幼き頃の詩織。その後、母の元恋人の天宮理一に引き取られるも、彼女は頑な態度をとり、なかなか心を開かない。ある日、取材現場で谷口と鉢合わせた詩織は、彼に対する熱い思いを再確認する。その最中、立花は教団の過去を知る謎の人物を、独占的に番組に出演させることに成功する。詩織の過去は衆人の目にさらされるのか!?

電波の城(16)

ヘパイストス(H)氏という教団の生き残り信者が話題に出てくる第15集の続き。立花哲人は聖レムリア事件の新たな事実を掘り当てるべく、生き残りと自称する人物、H氏の独占インタビューを開始する。関係者しか知りえない内容に、詩織の全身に戦慄が走る!!海外取材中の本城律子は急遽、詩織に課題を与えて、頂点を目指す人間に必要な試練が、数珠繋ぎのように続く。事態は部外者をも巻き込み目の離せない情報戦に発展!!詩織は情報戦に勝ちぬくことができるか!!

電波の城(17)

意外な人物たちの活躍で、立花哲人が取材した人物は偽者と判明し、一気に形勢を逆転させることができた詩織。結果、番組を降板となった立花は、彼の人生の転換期の舞台となった旧レムリア村に向かいます。番組は迷走、生き残りを模索する詩織は急遽、谷口にアプローチ。彼を密かに想う児島の横やりも入り、恋の三角関係も先行き不透明!事件の渦中に巻き込まれた詩織は、果たして試練を乗り越えられるか…

電波の城(18)

立花の自殺でテレビ局内は揺れます。父、理一の病状悪化と、次から次へと畳みかけてくる圧力に、ついに詩織は放心状態となります!彼を必死に看病をするその献身さは、かつて彼女が非行に走った中学生時代、ある事件が起こったことに機縁していたことが分かります。理一が教団から逃れてきた詩織を引き受けたことも、その事件の日と無関係ではありませんでした。業界で頂点を目指す彼女にとっても、その存在があまりにも大きすぎる理一。その秘密が今、明かされます!

電波の城(19)

理一の入院する病院に谷口を呼び寄せた詩織は、彼に立花が残した遺言を打ち明け、捜査の協力を求めます。彼はキーとなるレムリア教団の集団自殺事件前夜に撮影されたビデオを探すため、当日の烏丸社長の足取りを追い始めることになります。一方、番組に復帰した詩織は、生放送の総務大臣のインタビューをうまくまわして高視聴率を獲得、本格的な復帰を華々しく飾ります。プライベートでも谷口と急接近し、公私ともに絶好調な彼女ですが、彼女の見えないところで不穏な影が着々と忍び寄ってきます……

電波の城(20)

ある日、詩織の前に現れたのはフリージャーナリストの三隅。父娘の過去を調べ尽くした彼は、全てを本にして世に問いたいと彼女の前で宣言をします。そして同時に彼と谷口が実は旧知の仲だということも知り、彼女は愕然とします。一方、理一の病状は悪化、「Xデー」が着々と差し迫ります。彼が今のような身体になったのは、あの日起こった事件、詩織の高校時代に起こった「ある事件」が原因でした。運命共同体である父娘。ふたりが歩むは修羅の道、それ以外はありえないのか……詩織はふたりの運命を変えるべく、ひとつの決断をします。

電波の城(21)

詩織は、自らの地位を脅かす存在であったフリージャーナリストの三隅を遂に排除する決断をします。そしてその大きな憂いを拭いさった後は、彼女はついにニュース番組“EX”のメインキャスターへ就任します。ただし、念願であったキャスターの頂点に立てたそのとき、父である理一の容態は悪化し、彼は帰らぬ人となります。父を失った詩織のもとに恋人である谷口が参上し、ふたりは悲しみの時刻を共有します。しかし彼は、師として仰いでいた三隅を、本当は誰に殺されたかはこの時点では露とも知りませんでした。一方、多額の借金を抱え、指名手配中となった仁科がある日、詩織の前に突如、現れます。詩織の裏の顔を知る男、仁科の目的は果たして…

電波の城(22)

亡き立花哲人が封印した取材ビデオに、レムリア教団崩壊の真相が隠されている……恋人の詩織に頼まれて、ビデオの捜索を始めた谷口ハジメは、記者独特の嗅覚で、その在処をつきとめます。一方、詩織は立花の盟友であった中央テレビ局の烏丸社長と縁深い、ある女の存在に気づきます。谷口と共通の目的をもち、恋も仕事も全て順調だった詩織。しかしそんな生活にいつしか陰りが見え始めます。自分の冠番組が丸の内テレビの裏番組に視聴率が追いつかれ、苦戦を強いられます。それは、新しい舞台に舵を切ろうとするスーパージャーナリスト・本城律子からの挑戦状でした。そしてある日、退路を断たれて窮鼠となった仁科は、最後の力を振り絞って手紙を谷口に送ります。そのメッセージを谷口が受け取ったとき、この物語は終焉へと向かい始めるのです……

電波の城(23)

仁科の地獄からのメッセージにより、天宮詩織の過去を知ってしまった谷口は呆然とします。詩織の恋敵・児島君子はさらに追い打ちをかけるように、詩織が三隅が死亡した事件に関わっていることを彼に告げます。そして深夜、何も知らずに谷口の家を訪れた詩織の目に、とんでもない光景が飛び込んできます――――――国営放送で記者をしていた父の意志をつぎ、テレビ業界に飛び込んだ詩織は、数々の困難を乗り越えて人気キャスターの座まで登り詰めました。三隅の事件が契機で追いこまれた彼女が、「まだやり残したことがある」と谷口に告げて向かった先は――――――電波の闇を暴く物語、堂々完結です!

電波の城

テレビ局の表と裏の話だけではない

電波の城 細野不二彦
マンガトリツカレ男
マンガトリツカレ男

テレビ界で色々な駆け引きをしながら謎の女、天宮詩織が「電波の城」であるTV局の頂点を目材していく物語を天宮詩織の近いところにいた真摯なジャーナリストである谷口ハジメの回想録という形で進んでいく。 最初の方はTV局での女性同士の戦いがメインで天宮詩織が問題に対処しながら徐々にTV局での主導権を握っていくことになる少しづつ天宮詩織の過去が小出しになっていき謎は深まっていく。中盤からTV/ジャーナリストの未来と天宮詩織の過去が並行して進んでいくが途中から天宮詩織の過去にとって重要な宗教団体などが絡んでくる。この宗教団体は80年代後半から90年代を生きていた人に忘れられない某宗教や、ジム・ジョーンズの人民寺院を思い出させる内容だった。 天宮詩織の過去を知ろうとするジャーナリスト、関係者同士の意図していない繋がり、最愛の父の病状などが絡み合って伏線を回収しながら最終回に向かっていく。 最初からこういう最後を考えて進んでいたかどうかはわからないが、天宮詩織に起きる出来事の順番が少し違うだけでも全く違うラストが想像もできた。この終わり方はある意味納得できるから好きかな