あらすじ

農園を訪れたドリスコ拳闘団。そこで待っていたのは厳しい「拳奴選抜戦」だった。セスタスはベテランのモンソンと、そして…。
拳闘暗黒伝セスタス 1巻

紀元54年、ローマ帝国の最下層「拳奴養成所」。ここに身を置く少年セスタスは、生き残るために戦い続ける運命だった…。

拳闘暗黒伝セスタス 2巻

世界帝国となったローマを舞台に、拳奴(けんど)・セスタスの成長を通して自由を勝ち取る大切さを語るボクシング・アクション!!

拳闘暗黒伝セスタス 3巻

ローマの奴隷拳闘士・セスタスは総合格闘技のエリート・ルスカに勝利することができるのか!?少年の命と心をかけた試合が始まる!!

拳闘暗黒伝セスタス 4巻

ローマ帝国の最下層・拳奴として自由を勝ち取るために戦う少年・セスタス。皇帝・ネロや格闘技のライバルたちと出会い、自らの能力に磨きをかけていく!!

拳闘暗黒伝セスタス 5巻

拳奴養成所崩壊に伴い、皇帝の奴隷となったセスタス。自らの尊厳と命を守るため、戦いを挑む!

拳闘暗黒伝セスタス 6巻

ドリスコ拳闘団の一員として巡業に出たセスタス。訪れたのは奴隷戦争のいわくある地・カプア。セスタスの試合相手は恐ろしい伝説を持つ男だった!

拳闘暗黒伝セスタス 7巻

ドリスコ拳闘団とともにネアポリスに入ったセスタスは、港で溺れたところをクァルダンという小柄な拳奴に助けられた。クァルダンは師匠・ザファルと同郷出身で、セスタスは大いにうちとける。そんな中、この町でも剣闘と拳闘の試合がはじまるが……。

拳闘暗黒伝セスタス 8巻

総合格闘技の天才児ルスカ。若き皇帝ネロ。栄光に包まれたように見える彼らの苦悩、真実の姿とは…!?

拳闘暗黒伝セスタス 9巻

農園を訪れたドリスコ拳闘団。そこで待っていたのは厳しい「拳奴選抜戦」だった。セスタスはベテランのモンソンと、そして…。

拳闘暗黒伝セスタス 10巻

拳奴選抜戦は進む。次に闘うのは、拳闘団への入団を望む農奴・ゾラ。相手に選ばれたセスタスは、モンソンとの闘いでの感情を引きずったまま、集中力を欠いて試合に臨むが……!?ミネロとルスカの揺れ動く心情を描く間章「棘なき花に捧ぐ」も収録!

拳闘暗黒伝セスタス 11巻

ドリスコ拳闘団の新たな巡業地は、巨大都市・ポンペイ。そこで出会ったのは、ポンペイ最強を誇る拳奴エムデン。一人きりで奇妙な鍛錬を続けるエムデンにセスタスは…。そして物語の鍵を握る美女、「生ける伝説」ポッパエア・サビーナが現れる!

拳闘暗黒伝セスタス 12巻

ボンペイ最強拳闘士・エムデンの攻撃にセスタスは絶体絶命のピンチ!!その時、セスタスが放った一撃とは…!?

拳闘暗黒伝セスタス 13巻

セスタスVS.エムデンの死闘も終結し、物語は新章に突入!皇帝ネロの妻・オクタヴィアとの関係を疑われたルスカは、自らの潔白を証明するためにどのような行動をとるのか…!?緊張感溢れる第13巻!!

拳闘暗黒伝セスタス 14巻

皇帝・ネロのもとにアルメニアからの使節団が訪れ、事態は思わぬ方向に…!?壮大なる歴史格闘アクション、待望の14巻発売!!

拳闘暗黒伝セスタス 15巻

ルスカの戦いが遂にクライマックス!!そしてその頃セスタスは何処で腕を磨いていたのか…!?激動のローマ時代、戦うことで生きてきた拳奴・セスタスの戦いの歴史がここに綴られる…第1部・完結!

拳闘暗黒伝セスタス

壮大な歴史格闘劇!

拳闘暗黒伝セスタス 技来静也
ひさぴよ
ひさぴよ

紀元50年頃、ネロ帝の時代の古代ローマを舞台に、少年拳奴セスタスが拳闘を通じて過酷な運命に立ち向かう物語。奴隷のセスタスに自由は無く、奴隷主にこき使われながら、拳闘の練習に励みつつ、試合があるときは闘技場に連れて行かれ、命懸けで闘わされます。負けた敗者は即処刑されることもあり、生きるためには絶対に勝ち続けなければいけない…。『拳闘暗黒伝セスタス』では、常に緊張感が張り詰める展開が多いです。 体格もメンタルも弱々しいセスタスは、師匠ザファルの指導によって少しずつ腕を磨いていくのですが、その指導法というのが、完全に近代ボクシングや格闘技の理論がベースになっていて、非常に合理的で、素人の私にも分かりやすい説明になっています。(古代ローマにそんな技術があったかどうかは置いといて)現代の技が、古の強者達に果たしてどこまで通用するのか?という魅せ方は、この漫画において最も面白い部分のひとつだと思います。そして、ザファル先生によるアドバイスと至言の数々は心に刺さるものがあります…。優しい純粋なセスタスと、厳しい指導者(トレーナー)との関係性には唯一無二の素晴らしさを感じます。 格闘技漫画でもあるのですが、同時に壮大な歴史ロマンにも溢れていて、愛憎の念が入り混じった濃い人間ドラマもあり、といろいろ盛り沢山の漫画です。 特に、時代考証については、背景の一つ一つ、衣服や食事など細かいところまで描かれ、ローマ、カプア、ポンペイ、ナポリなどの都市文化の描き分けは見事です。名著「ローマ人の物語」(塩野七生)を読んでいるとより深く楽しめると思います。必ずしも格闘技メインの話とはならないのですが、基本的にはセスタスと、ライバルであるルスカやエムデン、そして皇帝ネロを中心としたビルドゥングスロマンであり、彼らを取り巻く複雑な人間関係が物語に奥行きを与えています。 男だらけのマッチョ漫画というわけでもなく、美しい女性も多く登場します。悲劇的でロマンティックな恋愛模様を楽しむも良しです。ネロの母であるアグリッピーナの人物描写は本当に凄くて、そこだけでも別の漫画として成立する面白さです。一人ひとりのキャラクターについて語りだすとキリがないのですが、とにかく多彩な人物がひしめき合っていて、それぞれの人生を必死に闘っているのがセスタスという漫画なのです。