13年前、銀行員としてアメリカに駐在していた北大路冬彦は、上司の柳原愛彦にハメられ、3000万ドル横領の罪をなすりつけられて収監されてしまう。だが、凶悪犯の巣窟のような刑務所からの脱獄に成功!!名前を捨て、愛する妻子にすら何も告げられぬままに日本に帰国。町金融“月影ファイナンス”のダメ営業マン・春居筆美として生きることに。だが、それはあくまで表の顔。裏の顔は、脱獄を手引きしてくれた謎の組織・クロブチ機関に属し、さまざまな悪を成敗するDr.WHOOという魔術師なのだ!!事件から13年、入念な準備をした北大路(=春居)は、すべてを奪った張本人で、今は与党・立憲民政党の副幹事長になっている柳原を破滅させようと追いつめる!!自らの背後にも、恐ろしい敵が忍び寄っていることには気づかないままに……。
ことの起こりは13年前。銀行員として米国に駐在中の北大路冬彦は、上司の柳原に巨額横領事件の罪をなすりつけられ収監されてしまう。収容されたシェラネバダ刑務所で人生を終えるかと思われた北大路は、ある男の力を借りて脱獄に成功。そして脱獄の手引きをした“クロブチ機関”なる組織の一員、春居筆美として日本に帰国。法で裁けぬ悪党を成敗する、危険な仕事に従事することとなる。一方、北大路(=春居)を陥れた柳原は悪事を重ね、与党の大物代議士になっていた。しかも、北大路の愛する妻と息子をたぶらかし、自らの陣営に引き入れて……!!妻と子のため、日本のため、自らの怨みを晴らすため、柳原を倒す決意を固める北大路(=春居)。だが柳原もまた、自らの罪を知る北大路を亡き者にしようと策を張り巡らせていた。そしてついに、対決の時!!生き残るのは……最後に笑うのは……誰だ!?
連載中も読んでいたが、いまいち内容を理解しきてれいなかったのとちょうど細野不二彦の長編にハマっているので読み返した。 最初は主人公である消費者金融の春居筆美(ハリー・フーディーニのもじり)が裏の顔であるDr.WHOOになり悪事や不祥事を負債と捉えてその債権を回収する話で始まっていく。途中からDr.WHOOの所属している謎の機関である黒淵機関や黒淵機関の情報を狙うシラフジ会、Dr.WHOOの過去を探るジャーナリスト 有坂憲などは入り混じりつつ伏線を回収しながら最後に向かっていく。ところどころあるDr.WHOOの奇術の説明や俺の好きな人情回、月影ファイナンスでの色々な人間模様といい最初から最後まで面白かった。