あらすじ

蜷屋(になや)の大旦那・膳右ヱ門(ぜんえもん)が、痘瘡にかかっていることが発覚する。緒方洪庵(おがた・こうあん)の命により手塚良庵(てづか・りょうあん)は、膳右ヱ門の養女・お品(しな)をはじめ、店の者全員に種痘を受けさせ、感染を防ぐべく努力していた。安政三年七月、通商使節としてアメリカから下田に、ハリスと彼の通訳のヒュースケンがやってきた。日本との交渉が難航し、過労で倒れたハリスは、ヒュースケンの愛人のお吉(きち)を専属の看護師として雇うことに……!! <手塚治虫漫画全集収録巻数>手塚治虫漫画全集MT328~329『陽だまりの樹』第3~4巻収録 <初出掲載>1981年4月25日号~1986年12月25日号 ビッグコミック連載
陽だまりの樹 【手塚治虫文庫全集】(1)

蘭学医・手塚良仙(てづか・りょうせん)の息子良庵(りょうあん)と府中藩士の伊武谷万二郎(いぶや・まんじろう)は、美女・おせきを巡り犬猿の仲だった。そんな最中、良庵は適塾で蘭学を学ぶため、大坂へ旅立った。万二郎は、江戸を襲った大地震で、民衆を安全な場所へ誘導するという大手柄を立てる。一方、良仙は奥医師たちの激しい妨害の中、娘婿の大槻俊斎(おおつき・しゅんさい)らとともに種痘所の江戸設立に向け頑張っていた。幕末に実在した著者の曽祖父をモデルにする長編時代作品。 <手塚治虫漫画全集収録巻数>手塚治虫漫画全集MT326~327『陽だまりの樹』第1~2巻収録 <初出掲載>1981年4月25日号~1986年12月25日号 ビッグコミック連載

陽だまりの樹 【手塚治虫文庫全集】(2)

蜷屋(になや)の大旦那・膳右ヱ門(ぜんえもん)が、痘瘡にかかっていることが発覚する。緒方洪庵(おがた・こうあん)の命により手塚良庵(てづか・りょうあん)は、膳右ヱ門の養女・お品(しな)をはじめ、店の者全員に種痘を受けさせ、感染を防ぐべく努力していた。安政三年七月、通商使節としてアメリカから下田に、ハリスと彼の通訳のヒュースケンがやってきた。日本との交渉が難航し、過労で倒れたハリスは、ヒュースケンの愛人のお吉(きち)を専属の看護師として雇うことに……!! <手塚治虫漫画全集収録巻数>手塚治虫漫画全集MT328~329『陽だまりの樹』第3~4巻収録 <初出掲載>1981年4月25日号~1986年12月25日号 ビッグコミック連載

陽だまりの樹 【手塚治虫文庫全集】(3)

手塚良庵(てづか・りょうあん)は、江戸の種痘所設立に向け、努力している父・良仙(りょうせん)を手伝うべく適塾を去り江戸へもどった。病気の将軍・家定(いえさだ)に会いたいというハリスの申し出に幕府は混乱していたが、一方家定の後継ぎをめぐり、幕府内では激しく対立していた。また、老中・堀田(ほった)は朝廷からの条約調印の勅許を得られなかったため、権力の座は井伊(いい)へ移ってしまった。そして、そのあおりを受けて、伊武谷万二郎(いぶや・まんじろう)はハリスの警護役を解任されてしまう!! <手塚治虫漫画全集収録巻数>手塚治虫漫画全集MT330~331『陽だまりの樹』第5~6巻収録 <初出掲載>1981年4月25日号~1986年12月25日号 ビッグコミック連載

陽だまりの樹 【手塚治虫文庫全集】(4)

大老・井伊直弼(いい・なおすけ)が朝廷に無断でアメリカとの通商条約に調印したことで、朝廷と幕府は激しく対立。攘夷派の橋本左内(はしもと・さない)の同志・伊武谷万二郎(いぶや・まんじろう)も、井伊等幕府側の巧みな罠にはめられて無実の罪をきせられてしまう。後、安政六年、橋本左内の攘夷派は、幕府により次々と処刑された。そして、水戸の山中に身を潜めていた伊武谷万二郎は、井伊の腹心・磯貝長八郎(いそがい・ちょうはちろう)を捕らえ井伊の汚職を暴こうとするが、井伊は水戸の浪士等に暗殺されてしまう!! <手塚治虫漫画全集収録巻数>手塚治虫漫画全集MT332~333『陽だまりの樹』第7~8巻収録 <初出掲載>1981年4月25日号~1986年12月25日号 ビッグコミック連載

陽だまりの樹 【手塚治虫文庫全集】(5)

おせきは、アメリカの通詞・ヒュースケンに暴行されたのをはかなみ、尼寺へ入った。おせきに恋こがれていた伊武谷万二郎(いぶや・まんじろう)は激高し、ハリスとヒュースケンの警護役を降りてしまうが、その日の晩にヒュースケンは刺客に殺害されてしまう。一方、奥医師と西洋医学所頭取に任命された緒方洪庵(おがた・こうあん)は、江戸に入りかつての弟子たちと再会する。その中には、他界した父の名を継いだ手塚良仙(てづか・りょうせん)の姿もあった。果たして、それぞれの運命の行方は!? <手塚治虫漫画全集収録巻数>手塚治虫漫画全集MT334~335『陽だまりの樹』第9~10巻収録 <初出掲載>1981年4月25日号~1986年12月25日号 ビッグコミック連載

陽だまりの樹 【手塚治虫文庫全集】(6)

手塚良仙(てづか・りょうせん)は、緒方洪庵(おがた・こうあん)のすすめで伊武谷万二郎(いぶや・まんじろう)率いる歩兵屯所付き医師になることを決意。しかし、万二郎はきわめて不条理な理由で、突然征長軍隊長を解任されてしまう。崩壊寸前の幕府をなんとか再建しようとさまざまな策略をめぐらす万二郎だったが、なかなか思うように事が運ばず、ついには無能な閣老たちの暗殺を企てるのだった。激動する幕末、時代に翻弄された万二郎と、それを見つめる手塚良仙の運命を描く青春ドラマ、完結編!! <手塚治虫漫画全集収録巻数>手塚治虫漫画全集MT336『陽だまりの樹』第11巻収録 <初出掲載>「陽だまりの樹」 1981年4月25日号~1986年12月25日号 ビッグコミック連載/「サロメの唇」 1972年1月10日号 「ビッグコミック」掲載/「最上殿始末」1972年10月18日増刊号 「漫画サンデー」掲載/「新聊斎志異 叩建異譚」 1987年2月24日号~3月10日号 「コミックバーガー」連載

陽だまりの樹

手塚先生による幕末もの

陽だまりの樹 手塚治虫
酒チャビン
酒チャビン

1981年〜1986年にビッグコミックで連載ということで、時代的にはキャプテン翼と同じ連載開始年ですね。感慨深いです。 内容は、鉄板のビッグコミックものですので、ハズレがありません。 よく「手塚先生の先祖(曽祖父)の手塚良庵を主人公とした物語」「手塚治虫のルーツを描いた作品」みたいに紹介されたりするのですが、あまりそこがメインのテーマではないので、ミスリードな感じがします(メインキャラとして手塚良庵はガッツリ出てきますが)。 手塚良庵も結構好感が持てる性格(女好きでだらしないが、やるときの集中力がやばい)で愛せるのですが、もう一人の主人公の伊武谷万二郎もそれとは反対(不器用で融通が効かない正義漢)ですが、かなり愛せます。 二人はいつも殴り合ってるのですが、本当は仲良くて尊敬しあってるところが良いですね。退廃の時代に咲いた一輪の友情の花ですね。現代にこれが連載されていたらBLの同人誌が多数作られていてもおかしくないです。 色々な人に目をかけられるほどの資質を持った万二郎でしたが、その性格のためにあまり出世せずに、最後は悲しい最期を遂げてしまいます。わたしも出世とかは良いので、自分に正直に生きようと思いました。