あらすじ

無事翼冴(つばさ)と稀(まれ)は合流し、二人は盤里(ばんり)の実家に匿われることに。今までの出来事から緊張を抑えきれない翼冴だったが、閃里(せんり)との別れを告げても盤里の態度は変わらなかった。それ以上に「閃里とお別れした」事実を言葉にすることでいっそうやるせない気持ちになる翼冴。一方そんな翼冴を見かねた稀は彼を守ろうと画策する。一つ屋根の下で三人それぞれの思惑は交錯し…図らずも妙な形で三人が合流した状況下、そこで閃里と盤里の出生の秘密が今明かされる――…
さわらないで、αくん act.1

Ω性を嫌って生きる貧乏大学生の翼冴(つばさ)と、同じく本能に支配されるα性を嫌うセレブ高校生の閃里(せんり)。二人は近郊の学生を集めて行われる、番探しのパーティで思わぬ形の運命の出会いを果たす。そこで互いの価値観に意気投合し、「友達になろう」と持ちかける翼冴。しかしそんな穏やかなひと時も虚しく、フェロモンに発情した閃里が翼冴を襲ってしまい――…!? この恋は波乱だらけ? 上原あり流トライアングル・オメガバース!

さわらないで、αくん act.3

磐里(ばんり)とのセックス現場を稀(まれ)に見られてしまい、気まずい状況の翼冴(つばさ)。発情期が終わっても稀の態度はつれなく、潔癖な親友を裏切るように二人のαと関係を持ってしまったことを憂いていた。そんな中、稀のもとに翼冴を訪ねて閃里(せんり)がやってくる。翼冴に再び会いたいと願う閃里を大学に連れ、そこで翼冴と閃里は熱烈な再会をし…! 前回の事故的なセックスが嘘のように二人は和やかで楽しい時間を過ごすが――…

さわらないで、αくん act.4

〈side:稀(まれ)〉Ωとして暮らしていくため、体を売って生活していた稀はウリの客であるαに嫌々抱かれていた。薄汚いと思いつつも割り切って稼いでいたつもりが、αを嫌悪する気持ちは止まらない。振り切って逃げ出したところに偶然磐里(ばんり)が現れ!? 〈side:翼冴(つばさ)〉その頃、大学で講義を受けていた翼冴は眠る閃里(せんり)の横顔を愛しげに眺めていた。目覚めた閃里とここが学内であることも忘れ、空き教室で愛し合う二人。気持ちを確かめ合うようにキスを貪っていると――…予想もつかない急展開! 四人をめぐる運命は静かに、激しく動き出す――

さわらないで、αくん act.5 前編

「これは命令だ。きみの半身、運命の番からの」閃里(せんり)との逢瀬を目撃され、翼冴(つばさ)は怒り狂った盤里(ばんり)に大学の保健室へと連れ込まれた。情動と本能に突き動かされた盤里は翼冴を獣のように激しく犯し、怖くて逃げ出したいのに快感を逃がせずおおいに乱れる翼冴。劣情の虜になってしまう自分の浅ましさに意識を手放しそうな翼冴だったが、閃里への気持ちを思い出し、力を振り絞って盤里に抵抗をする。するとそこには見たこともないような表情の盤里がいて……

さわらないで、αくん act.5 後編

「おれがつばさのαなんだ」翼冴(つばさ)が磐里(ばんり)に犯されているあいだ、閃里(せんり)は教師から教育的指導を受けていた。稀有な高IQを持つエリートである一方、その奔放な性格に手を焼いているという教師の心配にも我関せず、翼冴への恋心で今は手一杯だと語る閃里。翼冴との出会いを運命と信じる純粋な彼だったが――寮に戻った磐里の背中を見てその心は激しくざわめく。思いつめた表情で折り入って話があると告げる磐里に閃里は――…

さわらないで、αくん act.6

愛を、運命を、それぞれのやり方で証明しようとする閃里(せんり)と 盤里 (ばんり)。翼冴(つばさ)の真実の気持ちを確かめるべく寮を脱走した閃里だが、向かったアパートはもぬけの殻。その一方、アパートを追われた翼冴と稀(まれ)は夜の公園で久しぶりに二人きりの時間を過ごしていた。――高校生だったあの日の夜、一人たたずむ稀を見て声をかけたことから二人の付き合いは始まった。ぐしゃぐしゃの大金を片手にワケありげな稀。ただならぬ空気を感じた翼冴は…

さわらないで、αくん act.7

閃里(せんり)を追いかけアパートに向かった翼冴(つばさ)を待っていたのはもみ合いになっている男たちと閃里だった。稀(まれ)の売春客である男に脅され大ピンチの状況に陥るが、間一髪でことなきを得て二人は夜道を逃げ出す。相次ぐアクシデントで離れ離れになってから、久々の再会をよろこび激しく抱き合う閃里と翼冴。「すきだ おれを番にしてくれ」もう離れたくない――そんな想いが重なり告白をした閃里だったが…そして一方、いなくなった翼冴を探す稀と閃里を探す盤里(ばんり)の二人は!?

さわらないで、αくん act.8

無事翼冴(つばさ)と稀(まれ)は合流し、二人は盤里(ばんり)の実家に匿われることに。今までの出来事から緊張を抑えきれない翼冴だったが、閃里(せんり)との別れを告げても盤里の態度は変わらなかった。それ以上に「閃里とお別れした」事実を言葉にすることでいっそうやるせない気持ちになる翼冴。一方そんな翼冴を見かねた稀は彼を守ろうと画策する。一つ屋根の下で三人それぞれの思惑は交錯し…図らずも妙な形で三人が合流した状況下、そこで閃里と盤里の出生の秘密が今明かされる――…

さわらないで、αくん act.9

〈side:翼冴(つばさ)・閃里(せんり)〉閃里と盤里(ばんり)の出生の秘密を知ってしまった翼冴は、処理しきれない感情を持て余し稀(まれ)と喧嘩をしてしまう。酔いでフラフラの中、盤里と稀が思わぬ会話をしている場面に遭遇してしまい!? そして、謗られて以来自分なりの生き方を模索してきた閃里は『ある決心』を固めて実家の屋敷に戻る。 〈side:稀・盤里〉キャパオーバーで自棄になっている翼冴を見かねて「翼冴を守る」と決めた稀は思わぬ行動に打って出る。それは盤里を誘惑して翼冴から引き離すことだった――…なりふり構わない稀の態度に、先日から気になっていた想いを吐露する盤里。涙ながらに自身の生い立ちと翼冴に救われた過去を語る様子にシンパシーを感じた盤里は、稀を強く抱きしめて…愛と本能の狭間で揺れる四人の運命がひとつにつながる。クライマックス突入の第9話!

さわらないで、αくん act.10

閃里(せんり)が薬の開発のため海外に飛び立ち、それから数年後――… 児童福祉司として日々奔走する翼冴(つばさ)は、盤里(ばんり)とプロゲーマーとして活躍する稀(まれ)のeスポーツ試合を観にいく約束をしていた。毎回席を用意するものの閃里は一度も帰って来ず、空港での別れ以来連絡を取ることもなく。閃里の覚悟を感じたあの時、翼冴も翼冴なりの覚悟を持って待つことを決めていた。寂しいような、愛しい想いを抱えたまま自分なりの生き方を見つけようとしていたそんな折…? 大人気トライアングル・オメガバース感動の最終話。