Rust Never Sleeps

ラストの短編が一番好き

Rust Never Sleeps 杉本亜未
名無し

タイプの違う短編が3つ収録されています。 単行本のタイトルにもなっている「Rust Never Sleeps」は、高校時代に仲が良かった男女3人が30歳になって再会するけど、そのうちの1人は海外で殺しを仕事にするようになっていて、他の2人も殺人事件に巻き込まれてしまう話です。あらすじでもサスペンスとして紹介されていますが、読後感としてはヒューマンドラマの方が強いかも。青春の終わりと旅立ちの話という気がしました。 「カンフー・シスター」はコメディですね。父親にカンフーを教え込まれて人殺しも可能な腕前になってしまった女の子が、抑止力として修道院に入れられてシスターになるも、ひょんなことから権力を悪用する邪悪な美少女と戦う話です。 一番好きだったのは最後の「花まつり」。ダントツで面白かった!明治初期ぐらいが舞台で、語り部は根無草みたいな生き方をしている物書きの青年なんですが、主人公は前世の記憶を持った不思議な少女なんです。記憶を元に前世の家族を探し当てますが、そこで自分の息子に殺されていた事実を知ることになります。少女が青年と一緒に自分の死体を探しに行くシーンもすごく良かったんですが、ラストでの2人の掛け合いがとても良かった。 作者が各作品にページ1枚ずつ後書きを描いてるのも楽しく読みました。

ファンタジウム

学級文庫にオススメされていたので

ファンタジウム 杉本亜未
かしこ
かしこ

マンバのオンライン読書会で学級文庫にオススメの漫画として紹介されていたのがきっかけで読んでみました。 主人公の長見良くんは中学生ながらマジシャンとして超一流の腕を持っていますが、難読症(ディスレクシア)で読み書きが苦手な為に学校生活や両親との関係が上手くいかずにいました。良くんのマジックの師匠の孫である北條と出会ってからは本格的にプロのマジシャンとして見出されるようになりましたが、才能を活かすのも簡単なことではなく、様々な問題と向き合いながら成長していく物語です。 世界で活躍するにはメディアに出るべきということで途中から芸能界入りをしますが、良くんが抱えている悩みは普通の中学生だった自分と重なるところがあったりして勇気づけられものがありました。社会にはいい大人ばかりいる訳じゃないというのも勉強になりますね。実際にマジックを観に行ってみたいと思ったし、難読症について学んだことがたくさんありました。ラストも素敵です。 大人になってから読んでも面白いですが、良くんと同じ年齢くらいの子にオススメしたくなる作品ですね。ぜひ感想を聞いてみたいです。