現在の大友の絵的な主題は、緻密な世界観を一度構築して、崩壊する様を描くことにある。AKIRAがそうであり、同タイトルの映画ショートピースで江戸という世界観が燃え上がる、スチームボーイでも蒸気機関の世界が崩壊していく。しかしそれはAKIRA以後の話で、それ以前の大友の絵的な主題は昭和を描くことにあった。如何に昭和をリアルに描くか、さらにはそこに生きる末端の人間を描くかが初期の大友克洋である。ページをめくるたびに、昭和に生きていない筈の私が何故か懐かしさを感じてしまう。色気のある線で描かれた風景が昭和の空気や匂いまでも思い起こさせる
大友以前、大友以後という言葉が存在する様に、多くの漫画家に影響を与え続けてきたAKIRAだが、それは未だその影響は衰えていない。それは結局のところ少年漫画、青年漫画においてこの漫画の描き込みや、リアリズム、デザインセンス、構図、存在しない背景の描写の技術力に追いついていないからである。確かに大友の絵の影響はあらゆる漫画から腐る程感じるのだが、AKIRAを一つも凌駕してはいない。真似しようとしてどの漫画家も挫折しただけだ。ナルトも攻殻機動隊も亜人も引き画の大ゴマや人間や機械の描写力がAKIRAより簡単である。そして何より誰も大友の絵を真似ても、大友の線の魅力を再現出来ていない。彼の1〜5巻における艷やかで艶めかしい色気漂う線が、この漫画のオリジナリティを保持している。大友の線を細く均一などと表現するのを時々見るが、それは違う。実は細い線の中にも止め跳ね払いが存在する。但し6巻はアニメという線に作家性を出さない媒体を挟んだからか、最早情念すら感じない。前時代の崩壊と新世代による復興というテーマは現在だからこそ読む意味がある様に感じる。
色んな評価を見て期待して読んだが普通な内容だなと言う感じでした。 連載当時に読んでいると色んな刺激や発見があって面白かったのではないのかなと言う感じです。 短編漫画で読みやすく、まとまっていたので1度読んでは損はないです!
大友克洋に単行本未収録作品が数多いのは漫画マニアなら周知のこと、 あーAKIRAや童夢以前の感じな、ショートピースでお馴染みの初期短編のノリなら知ってるぜ、さアどんなもんよーーと、読んでみたら........難しかった。 未発表の習作を含めた1960年代〜70年代に描かれた短編が載っているのだけれど、その時代というとまんが表現が子どものものから青年を経て、大人を志向したものに変化していく過渡期の時代なだけあってかなり文芸色・実験性の強い作品が多い。 だが気に入った作品もいくつかはあったので軽く触れておく。 ・エンタメ部門 「スマイリーおじさん」 賭け事がやめられない喰えないジジイに、死んだ父親に代わってジジイの借金を回収しようとする若者が翻弄されるユーモラスな話。原作マーク・トウェインの力もあるだろうが、本作品集のなかでは一番オモロい内容だった。 ・文芸部門 「橋と そして...」 アンブローズ・ビアスの「アウルクリーク橋の出来事」を翻案したと思しき一作。ベトナム戦争下、米兵に橋に吊るされ処刑されんとする若者。幸運にも綱が切れて逃げ延びるも.....。戦争って、マジでクソだと思わされる話だ。 ・芸術部門 「まっちうりの少女」 東京に上京する際、編集者に見せるために描いたという習作で、じつに本巻ぶっちぎりの大傑作。当時の公民権運動に触発されたと思われる、童話と人種差別を組み合わせた少女漫画的内容。マッチ売りの貧しい黒人の少女が主人公で、すごく悲しいストーリーなんだけど、その悲しさの向こう側にほのかな叙情が浮かび上がってくる。ある少年に助けられるけど、主人公がお礼を一言も言わないでいるので少年が立ち去ってしまうシーンが、何か来るものがあった。この一作が読めただけでも、買った甲斐はあったかなと思う。一番好きです。 巻末には大友自身による各作品を語った談話が載っている。これは割に面白かった。 結論としては積極的にはすすめないが、大友克洋の大ファンなら読んでみてもよいだろうといったところ。
2020年の東京五輪開催を的中させたことで有名なマンガAKIRA 漫画としては、異例の世界的に有名なアパレルブランド「SUPREME」とコラボをした事で有名なマンガAKIRA 部屋に並べても、おしゃれに見える事で有名なマンガAKIRA 圧倒的な画力かつ唯一無二の画風で有名なマンガAKIRA ドラゴンボールの鳥山明先生も影響を受けた事で有名なマンガAKIRA 不良×近未来×超能力×友情×恋愛×戦争という、あらゆるジャンルを詰め込んだで有名なマンガAKIRA これは読まなきゃね。
これぞ大友克洋!というモノに触れられます。大人から子供まで、まだ読んだコトのない人はオススメです。SFアクション好きにはたまらない一作です。
※ネタバレを含むクチコミです。
プロポーズでサプライズを仕掛けるはずが、指輪を巡ってとんでもない事態に巻き込まれるカップルの話。 大友克洋×中川いさみという大ベテラン同士がタッグを組んだ読切。中川氏のストーリー漫画が描きたい!という願いが漫画家入門という連載になり、それをきっかけにこの読切が生まれたらしい。 タイトル通り、いろんなサプライズが起こる話なので詳細は避けますが、キーワードは「たらこおにぎり」と「ゴミ屋敷」。 誰も予想できない展開が待ってるのでぜひ読んでほしい。 モーニング・ツー2018年6月号掲載です。
団地の住人が次々死んでいくその犯人は...団地のほのぼのした生活感と不思議世界が相まって、独特な世界が面白かった。
わたしには、はじめて外国文学を読んだとき、ちっとも読めなかったという経験があるのですが、みなさんはどうでしょうか。英語やフランス語やドイツ語やロシア語が読めなかったのではありません、あろうことか翻訳された日本語がちっとも読めなかったのです。読めないなりに読んでいるうちに、いつのまにか慣れてしまい読めるようになったのですが、あのはじめに感じた読めなさはいったい何だったんだろうと、いまでも時々思うことがあるのです。 そして大友克洋です。大友克洋をはじめて読んだときも、ちっとも読めなった。こういっては失礼というか語弊があるかもしれませんが、マンガなのにもかかわらず、ちっとも読めなかったのです。ただし、この読めなさには理由があって、すぐにそれに気が付くことができました。わたしは手塚治虫からマンガを読むようになった、これが大きな理由でした。周知のとおり手塚治虫はマンガの祖であり、マンガの描き方/読み方を体系化した人であります。つまり、わたしは、この手塚式のマンガに慣れ親しみすぎていたあまりに、手塚とはまるで異質のマンガ体系を持つ大友を読むことができなかったのです。手塚マンガは記号の集積であり、大友マンガはカメラのレンズであった、この体系の違いを察知してはじめて大友を読めるようになったというわけです。
現在の大友の絵的な主題は、緻密な世界観を一度構築して、崩壊する様を描くことにある。AKIRAがそうであり、同タイトルの映画ショートピースで江戸という世界観が燃え上がる、スチームボーイでも蒸気機関の世界が崩壊していく。しかしそれはAKIRA以後の話で、それ以前の大友の絵的な主題は昭和を描くことにあった。如何に昭和をリアルに描くか、さらにはそこに生きる末端の人間を描くかが初期の大友克洋である。ページをめくるたびに、昭和に生きていない筈の私が何故か懐かしさを感じてしまう。色気のある線で描かれた風景が昭和の空気や匂いまでも思い起こさせる