テレビでよくやる「大家族モノ」が大の苦手で、ああいう中でどうやって自分を保ちながら生きていけばいいんだと思ってしまうんですが、この漫画の主人公・螢ちゃんという高校生は8人兄弟のど真ん中にいる女の子。雁須磨子さんが描く8人兄弟ですから、個性の強さはもちろんのこともれなく美男美女です。こういう家庭だったらいいかもなとか思ってしまうくらいに。 ただ物語としては大家族ものというよりは、螢ちゃんの成長記といったほうが近いと思います。 大家族という大きな海から一歩外に出てみたら、いろんな人に出会って、いろんな感情を知って、いろんな自分を知ってゆく。最初は「それってどういうこと?」「なんでこうなの?」を繰り返していた螢ちゃんが時間が進むにつれ自分なりの生きるロジックを作り上げてゆく。読んでいてワクワクします。 頭のいい大人達が、壁にぶつかり悩み迷う子どもに、どうせ子どもだしと見捨てるのではなく、ていねいに教え、時には何も言わず見守る様子がよい。そういう意味で嫌な大人が出てこないので安心して読んでほしい。 群像劇っぽさもあるので、決して視点は螢ちゃんだけではなく悩み迷う大人たちも描かれます。柚木くん、お幸せにな…!! いやーでもあれですね、雁須磨子さんが描くちょっと陰気なこじらせ男子がほんとに私は好きですね。読んで一番言いたいことは結局それかもしれない笑 あとこの作品、2015年から連載してていまやっと単行本化されたと知りびっくりして腰抜けた
失恋と激務で疲れ果てた挙句、家の風呂が壊れたサラリーマン。仕方なく元カノが働いていた銭湯に通ってみると眼鏡の地味な男の子が働いていて、うっかり休憩室で眠りこけてしまっているとこっそり深夜料金になる前に起こしてくれる。そんなこんなで仲良くなって、いつの間にか「一緒に風呂に入ってみたいな…」と思うようになる話。 普段はBLを読まない私でも雁須磨子さんのは読みやすいです。あんまり男同士だからって特別ってこともなくて自然なところがいいのかな。いいカップルだな〜ってほわほわしました。そして猛烈に銭湯に行きたくなります!総じて癒しマンガですね。
自分がゲイであることを受け入れてもらえなかったことで家出してから、実家との縁を断っていた主人公・昭が、父の死をきっかけに田舎に帰ります。そこで出会った謎の青年・舟は、生前の父親とやけに親しかったようで…同性愛なんか認めない父親が、どうして?(しかもこんなイケメンと!?ずるい!) まるで死んだ父親を含めた歪な三角関係が出来上がってしまっているようにも見えます。しかし地元を離れていた約十年のあいだ、父親がどう生きてなにを思っていたかは昭は知りません。何もかも上手く行かない人生にくすぶっていた昭も、舟に出会ったことでその空白の十年と向き合い、変わっていく様子が描かれます。最初は素性の知れない舟に対してピリピリしっぱなしだった昭も、舟と同居するようになってどんどん丸くなります。そして逆に、昭と出会ったことで舟も本当の自分に気づき始めます。 ボーイズラブであることには間違いないですが、若い頃、田舎に残してきた"しこり"といつかは向き合わなければならないことを思い出させるような、そういう話でもあると思います。あと個人的に、ふたりが両思いになるまでに長い時間を使うのは好きな方です。2回くらい昭が下心出したときに舟からすごい拒絶のされ方してますからね。そう考えると昭のメンタルは強靭だな… 脇役もみんないい味出してます。
雁須磨子ってすごい名前だからふざけた漫画を描く人なんだろうと思いながら、表紙の可愛さだけで読んでみたら面白かったという1冊。携帯もパカパカだしそれなりに前の漫画だっていうのはあるんですが、"ファミリー"レストランといいながら実にいろんな人間が入り交じる雑然とした感じはいつ読んでも面白いです。ウエイトレスの子たちもちょっとやさぐれてたり不良っぽかったり、店長は冴えなかったり…。ところどころちょっとエッチなのも想像力を掻き立てられます。"ちょっとエッチ"の程度が上手いんです。 なんか見たことある顔だけど知り合いじゃないし、どこで会ったっけ?と思ったら行きつけの店の店員だったとか、あるあるだなと思って可笑しかったです。
セックスレスになってしまった新婚カップル。どうやら原因は旦那さんの心理的なものらしいけど、このまま話し合いもなく夫婦を続けていくのは難しいと焦った奥さんが強行手段に出ます。なんとカレーにバイアグラを仕込みます…!あらすじにすると笑っちゃうような無茶な内容みたいに感じますが、これが単行本のタイトルにもなっている「右足と左足のあいだ」というお話です。ラストはしみじみと感動するいい話でした〜。 色んな年代の女の子が登場する短編集なんですけど、どれも「あ、私もこんな風に思ったことある…」って共感しました。女の本音を描いてるのにギスギスしてないのがいいです。雁須磨子先生の漫画って難しい内容の話じゃないけど細やかなテクニック満載って感じで、これを楽しめるようになった自分は大人になったのかなってちょっと思いました。
なのだろう、たぶん。 30代からあるらしいと書いてあって恐ろしいが…更年期障害?を言い訳に自分がどんどん弱っていく様が自覚できているわけで、エリートまで行かないにしてもすごくしっかり頑張っていて「出来るオフィスワーカー」であるのにコレは辛い。というか怖い。 このマンガはどう締め括るのだろうか、ハッピーな悟りを開いてくれると読み手も救われるのだけど… 割とヘビーな内容で全く他人事に思えないんですよね…
『最近、更年期なんだよね~。』『またまたぁ~。まだまだ若いじゃないですかぁ~』と言って笑い合う。 以前よりは、更年期障害を理解してくれる人は多くなってきたが、人によって全く症状が違うので一概にどうすればいいかといった対処法が無いのが難しいところ。 終りが見えない戦いに、折り合いをつけながらどうにか生活をしている。 それを、漫画で表現してくれる時代になって私は嬉しい!! いろんなものを受け止めながらおばさんは、頑張っているのだ! 因みに、おじさんの更年期障害もあるらしい。
アラサー女性を主人公にしたマンガは沢山あれど、四十代以降の女性を主人公に据えたマンガとなると途端に少なくなります。そんな中、雁須磨子さんが素晴らしいアラフォーマンガを生み出して下さいました。 現代日本の平均寿命が八十四歳程だそうなので、まさに人生の折り返し地点であり、「残り時間」について意識させられてくる四十代。幾人かの様々なアラフォー女性を通して、二十代・三十代からの様々な変化、不安や傷つくこと、苛立つことが出てくる様子がリアルに細やかに描かれます。筆者が実際に四十代になって体験し感じたことを描いている部分もあるようで、納得です。 加齢は当然良いことばかりではありません。が、そこまで悪いことばかりでもないとも思わされる、豊かな味わい深さのある物語です。たとえネガティブな事柄でも過剰に悲痛になることがない雁須磨子さんの絶妙な軽やかさがとても利いています。 一回り以上歳が下なものの仕事ができて考え方もしっかりしている女の子や、その子とは正反対にまったく仕事ができない困った上司など脇を固めるキャラも人間臭く魅力的です。 同年代の人にはあるあるとして、下の年代の人には近い将来に自分にも訪れるかもしれないこととして、普遍的な仕事や家庭、健康等の問題への共感として、それぞれに楽しめるでしょう。歳を重ねてから再読するとまた感想も変わる作品かもしれません。 単行本2巻以降掲載部分では内容的にもより広がりを見せてくれています。こういった作品がもっと増えていって欲しいなと思います。
夏っぽい話が多いので、汗をかく描写が多い気がしたのだけど、雁須磨子が描く汗はエロいなーとしみじみ。 表題作のあたたかい肩はどっかで読んだ記憶があるなと思ったら、Swimsuits Fellows!に載ってたやつだったんだ。
正直、共感とは少し違うものを感じた。それは単純に主人公と自分の年齢差だと思うけど。ただ主人公の身に起こったような身体やメンタルの変化は、もう遠い話ではないのだろうな。 変化を自覚したときには、こういうものだから、今までどおりに行くわけがないからという考えに切り替えられる、受け入れる体制をとれるようになっていたい。 主人公は、おそらく更年期の症状があらわれているんだろうというところで、年下の同僚にちゃんと現状を説明して「おかしかったら言ってね」と伝えているけれど、それはなかなか出来ることではないよなー… この作品を読んでより思ったけど、40代をおばさんと呼ぶには早い。というか、つまり、おばさん(おじさんも)かどうかは年齢で決めるものではない。 おばさんじゃない40代になりたい。
テレビでよくやる「大家族モノ」が大の苦手で、ああいう中でどうやって自分を保ちながら生きていけばいいんだと思ってしまうんですが、この漫画の主人公・螢ちゃんという高校生は8人兄弟のど真ん中にいる女の子。雁須磨子さんが描く8人兄弟ですから、個性の強さはもちろんのこともれなく美男美女です。こういう家庭だったらいいかもなとか思ってしまうくらいに。 ただ物語としては大家族ものというよりは、螢ちゃんの成長記といったほうが近いと思います。 大家族という大きな海から一歩外に出てみたら、いろんな人に出会って、いろんな感情を知って、いろんな自分を知ってゆく。最初は「それってどういうこと?」「なんでこうなの?」を繰り返していた螢ちゃんが時間が進むにつれ自分なりの生きるロジックを作り上げてゆく。読んでいてワクワクします。 頭のいい大人達が、壁にぶつかり悩み迷う子どもに、どうせ子どもだしと見捨てるのではなく、ていねいに教え、時には何も言わず見守る様子がよい。そういう意味で嫌な大人が出てこないので安心して読んでほしい。 群像劇っぽさもあるので、決して視点は螢ちゃんだけではなく悩み迷う大人たちも描かれます。柚木くん、お幸せにな…!! いやーでもあれですね、雁須磨子さんが描くちょっと陰気なこじらせ男子がほんとに私は好きですね。読んで一番言いたいことは結局それかもしれない笑 あとこの作品、2015年から連載してていまやっと単行本化されたと知りびっくりして腰抜けた