甲乙つけるもんでもないけど「フライングガール」より好きだったかもしれない。よりおもちゃ箱をひっくり返したようなマンガ的ドタバタ感があって楽しかった。いきなり高校生の主人公とクラスの真面目な委員長が結婚したりとか!それにしてもこの作者さんヤギが好きですよね。「ラタキアの魔女 笠辺哲短編集」も読みたいんだけど電子書籍化されてなくて悲しい。私が巡回する古本屋では一度も見かけたことない。
マンバで笠辺哲先生の評価が高いので気になっていたのですが、表紙がわりと地味なのでスルーしっぱなしになっていました…。でも!読んでみると 奇妙奇天烈 摩訶不思議 奇想天外 四捨五入 出前迅速 落書無用〜♪みたいな何でもありの楽しい漫画でした! お人好しでドジだけど役所に勤めている山田が上司から新しい仕事を命じられます。それが山奥に住んでいるトッド博士の研究を監視する「トッド番」です。さっそく新担当として挨拶に行ったところ…助手の磯貝さんにゾッコン一目惚れしてしまいます。こうして山田はトッド博士の発明品と恋の受難に振り回されるトラブル続きの日々を送るようになるのです!! 下ネタというか…キャー!のび太さんのエッチ的なお色気ネタもあるんですが、それがフフッと笑えるところが面白かったです。とくに山田とヤギの件(笑)
笠辺哲さんの漫画を初めて読みました。今まで味わったことがない漫画だなと思いました。面白いことは間違いないんだけど、面白いの一言で片付けられないような、そういう不思議な味わい深さがありました。どの短編もオチにびっくりするんですがドヤ感がまったくなくて、そういうもんなんですよ〜って普通に終わるのが新感覚でした。シュチュエーションも様々なので読む人によって好きな話も違ってきそうですね。私が一番好きなのは「ロッカー貿易」で、次に好きなのは「島一家」かな。「ロッカー貿易」は博士の諦めのよさが好きでした。
笠辺哲をなんと評価すれば良いだろう。 なに気にキャリアのある人で、もう期待の俊才などと言うのも失礼だろう。 「ゼロ年代コミティア系の良心」? いや、別にコミティアに「悪心」が他にあるとも思っていないのだが。 SF的なテイストだと宮崎夏次系のほうがハードコアだが、笠辺哲には独自のつかみどころのない気持ちよさがあって、とにかくいつ読んでも絶妙に「宙ぶらりん」な読後感を味わわせてくれる。 絵柄も話も、少しユルいヌケたところがあって、それなのに描いている世界はちゃんと棘があり、読み重りがする。 かつての小説界であれば、「奇妙な味」というのが相応しいような、貴重な才能だ。 それはともかく。 なんでこの人は、このペンネームなんだろう。 どう考えても映画監督・俳優のジョン・カサヴェテスから取って付けていると思うのだが、その作品に、カサヴェテスっぽさは特にない。 この作品集が刊行された時のインタビューがネットで見つかったが、そこでは、自分から「(アイデアの)ベースになりやすいのが映画」と話題を振って、好きなのはタランティーノ『パルプ・フィクション』、黒澤作品、デビッド・リーン作品、キューブリック作品、『天井桟敷の人々』とズラズラ列挙するのに、カサヴェテスのことはまったく触れていない。 音の響きが面白いから借りた…くらいのことなのだろうか? 不思議。 (もちろんそれで全然構わないのだが。自分のように、カサヴェテスの名前に惹かれてコミックス買っちゃったヤツもいて、その辺もまたつかみどころがない感じがして、なかなか良いと思います)
この著者の描くものは、設定から展開まで全て予想がつかない。間違いなく唯一無二の漫画。 古物雑貨屋ももきやの娘・桃子と、同級生・玉田くんらが巻き起こす予測不可能なドタバタ日常譚です。 桃子の祖父は太った三毛猫だし、玉田くんは店にあったお面をつけたらヤギ顔になるし、古代エジプトの兵士人形は玉田をアヌビス神と勘違いして覚醒するしで、更に例によって主人公は怪我して流血しがちです。 突飛な世界観なのに登場人物たちは金儲けしてやろうとか、モテまくろうとか、ヒーローになろうとかいう思考は微塵もなく、あくまでも日常を普通に生きているところもいい。 設定もさることながら、言葉選びのセンスも抜群。 はっきり言って名言の宝庫です。
読めば誰でも、ピュアでまっすぐな(頭がおかしい、とも言えますが)キャラクターたちの虜になり、終わってくれるなと祈るほどになります。正直二巻で終わってしまったのが惜しすぎる。 主人公の山田が磯貝さん(表紙の女性)に恋をすることで、普通の人間であれば一発で命を落とすようなアクシデントに巻き込まれ、包帯まみれがデフォルトとなってしまうのですが、人間離れした純粋な心と鈍感さを持っている山田は、何があっても怒らない、逃げない、辞めない。磯貝さん大好き。狂ったように好き。 この本で描くのは磯貝さんと山田のラブストーリーだけではなく、 人間と山羊、生首とヤクザ、ヤクザと生き別れ森で一人生き抜いた息子との再会など、様々な垣根を超えて人間関係が交錯します。 個人的には、ヒロインの体臭が野生の熊と同じくらい臭いというのがツボでした。 試し読みをしてもらえばわかりますが、コマ割りとタッチが独特です。 時に、笑わせようとしているのか、真剣なのかどっち?と考えてしまいますが、何も考えずに読むのがいいです。 どのカテゴリーにも含まれない、読んだことのない漫画を読みたい!という人にオススメします。
甲乙つけるもんでもないけど「フライングガール」より好きだったかもしれない。よりおもちゃ箱をひっくり返したようなマンガ的ドタバタ感があって楽しかった。いきなり高校生の主人公とクラスの真面目な委員長が結婚したりとか!それにしてもこの作者さんヤギが好きですよね。「ラタキアの魔女 笠辺哲短編集」も読みたいんだけど電子書籍化されてなくて悲しい。私が巡回する古本屋では一度も見かけたことない。