日頃から漫画雑誌を読んでいるので新人作家さんの読切に目を通す機会も多いですが記憶に残る作品は少ないですね。漫画が好きなのでオープンな気持ちでいるつもりですがやっぱり読みにくいと読み飛ばしてしまいがちです。しかし「へそのお」は何年か前に掲載された読切版がとても面白かったのを覚えています。もぐこん作画で連載化が発表されて一番驚いたのは私なんじゃないだろうか。 今回の連載化では父親サイドの話が追加されていましたね。へその緒を切ってしまうと二人とも死んでしまう奇病にかかっている母と息子、そんな運命共同体な二人とすれ違ってしまう父親について描かれることで、より人との「繋がり」とは何かを考えさせる物語になっていました。息子マサトの不器用なところは父親似だと思うけどね〜。古参ファンとしては高くなってもいいので読切版も単行本に収録して欲しかったです。
※ネタバレを含むクチコミです。
絵を見ているだけで、体が疼く。皮膚感覚が、視覚が聴覚が嗅覚が味覚が鋭敏になる。この短編集から得られるのは、そういう体験だ。 いつもの心地よいイラスト体験……白く弾む肌、サラサラした触感、大きな目の愛情表現からは遠い。時に辛い。しかし目を惹く。見るのを止められない。 丁寧に生々しさと向き合った者しか得られない感覚が、心の奥底に残る。 物語もリアリズムに貫かれる。誰かの価値判断を挟まない、どうしようもない物語。絵でも物語でも、美しいものを求める心を拒絶して、そうして絶対的な生の実感を与える。 生半可な審美眼では得られない、恐ろしい強度がここにはあった。 ●裸のマオ…貧しい中学生を美術教師がモデルに誘う。ひどく痩せたマオの体、古い家の質感。まともではない話なのに誰をも責めたくない不思議。百合度★★★★★ ●きしむ家…ボロアパートの大家は、住人の母娘の男性事情をただ見てるだけ。ボロさが音で切実に伝わる。百合度★(男注意) ●あつい皮膚…重度のアトピーの女子は、図書委員の女子の家に呼ばれる。ボロボロの肌の質感はこちらにも痒さを充分に伝える。ラストが重すぎて…百合度★★★ ●推しの肌が荒れた…推しのアイドルのイラストがバズった女子。推しへの想いが増すほど推しの肌荒れを描いてしまい…実は描く方もアトピー。様々な点を踏まえて丁寧に読みたい作品。百合度★★★
『あつい皮膚』と『裸のマオ』を読んだら他の作品も読みたくなったところで出会えたこの作品。 こういうのも描かれるんだなあ。心にダメージ負う作品も好きだけど、こういうのもいいなあ。 イオンモールはとても好きだけど、外観を気にしたことはなかった。 言われてみれば、変わった形してる気がする。外の方にあるペットショップから出ると全然見たことない景色だったとかよくある。 イオンモールの外で写真撮ってる人見かけたら「この漫画読んだ?」って声かけたくなるかも。
華奢な少女をデッサンする先生、という甘美な響きから想像するものとはかけ離れた作品だった。 マオはとても華奢な女の子。母親からほとんど放置され、貧乏で不健康な暮らしをしている。 先生はマオの体を褒め、ヌードモデルになることを持ちかける。マオは先生の家へ通い、お風呂に入り食事をし健康な生活をおくるようになる。 めでたしめでたし。とはいかない。 マオは自分の境遇について何も気づいていないように見える。 母親の気持ちにも、先生の気持ちにも、友達の気持ちにも何も気づかない。まっさらで何も知らないということは、マオにとって救いなのだろうか。 失って、過ぎ去って、はじめて気づいたとき、マオは華奢な体のまま生きていけるのだろうか。 大人になるためのイニシエーションにしては、切ない結末だと思った。
くらげバンチにおける「裸のマオ」や「あつい皮膚」などの読切で漫画読みの度肝を抜き続けてきたもぐこんさんのデビュー作です。 空気感や体温、手触りまで伝わってくるようなあの丁寧なタッチは既にこの時点で確立していて、 のちの作品では使わなくなったトーンが一部使われているのが興味深かったです。空間を意識した画面作りには宮崎夏次系さん、を思いだす人も多いかも 変人扱いされつつもイオンモールを堪能する主人公。この広々とした建築空間に向けるマニアックさをうまくエッセイ漫画風に料理しており、 イオンがとにかく好きなんですよという楽しさが伝わってきて愉快になりました ここすき
骨が浮き出るほど痩せている少女・マオと、彼女をデッサンモデルに誘った美術部顧問(女性)の短い逢瀬のはなし。 SNSでとてもたくさん反響があった様子で、気になりくらげバンチで読んでみました。 https://kuragebunch.com/episode/10834108156723939020 家庭の事情により不健康な生活を送っているマオの世話を焼く先生は、ただの教師と生徒として以上の感情を持ち、マオの前でそれを隠すこともなく接していた。 けれど、そんな絶対に知られてはいけない秘密の時間は、ある時あっけなく終わってしまう。 この先生は倫理に反する、むしろ犯罪ともいえる行為をしているけれど、それによりマオの心や身体が傷ついたということではなく(少なくとも作品の中では)、いち読者としては終わり方に切なさを感じました。 マオの華奢過ぎるからだと無知で未熟で無防備な様子はこちらをハラハラさせる部分もあって、ある意味先生がそばにいることで安心感が生まれていた。 でも切ないながらも、あれで良かったんだと思えるラストでした。 真面目なこというとマオの身体を見てまわりの大人が然るべき対処をするべきだったw これこそ読み手の感想が分かれる作品だと思うので、他の人の感想も知りたい。
日頃から漫画雑誌を読んでいるので新人作家さんの読切に目を通す機会も多いですが記憶に残る作品は少ないですね。漫画が好きなのでオープンな気持ちでいるつもりですがやっぱり読みにくいと読み飛ばしてしまいがちです。しかし「へそのお」は何年か前に掲載された読切版がとても面白かったのを覚えています。もぐこん作画で連載化が発表されて一番驚いたのは私なんじゃないだろうか。 今回の連載化では父親サイドの話が追加されていましたね。へその緒を切ってしまうと二人とも死んでしまう奇病にかかっている母と息子、そんな運命共同体な二人とすれ違ってしまう父親について描かれることで、より人との「繋がり」とは何かを考えさせる物語になっていました。息子マサトの不器用なところは父親似だと思うけどね〜。古参ファンとしては高くなってもいいので読切版も単行本に収録して欲しかったです。