詩野うら作品は「有害無罪玩具」とこれしか知らないけど、ショートショート的なSFで、特に発想が面白いものばかりで好き。 本作は神がいっぱいいる。 神という概念に関しても面白い考察というか仮説というか、設定がある。 気持ち悪い系の話や絵に頼ることもほぼなく、不思議な雰囲気でむしろ緩くなって不気味さも恐怖も主張しすぎない、ストーリーがしっかり入ってくる。 ふわっとしつつも、マンガ読んだ感を得られる。ショートショートやっぱり好き。
現実の世界にすっと不思議なナニカが溶け込んでいるような作風が魅力的。とりわけ人魚川の点景は、これまでの人魚観をいっぺんさせるような物語だ。有罪無害玩具のころから人魚というテーマを面白く扱ってるなと思っていたが、今回はより身近な未知として描いている。 タイトルにもなっている偽史山人伝は民俗学や害獣から着想を得た物語らしい。現実世界にあるをすこしだけスライドさせ、異空間をつくりあげる。素晴らしい作家だと思う。 先生のホームページ http://tirasimanga.web.fc2.com/TUM/TUM.html
コミックビームの付録小冊子に掲載されていた読切。ひと目見てこの人だとわかる、独特な絵柄のファンです。突飛で少しグロテスクな内容に反して、淡々と進むストーリー。百合っぽさもありつつ、死生観がぐらつきそうになる意欲作だと思いました。なんの根拠もない勝手な推測ですが、ビーム本誌で連載始まりそう。
2月発売の単巻作品一押しです。 読み味として近いと感じたのは、星新一や筒井康隆のショートショートでした。 「見る人の五感を騙して周辺認識まで歪める万能デザイン人形」 「分岐し続ける多重世界を観測できるバッヂ」 「脳の全情報をコピーして醒めない夢を見続ける小箱」 など、表題作の「有害無罪玩具」の中には短いお話の中に短編を5個も6個も書けそうな奇想や思考実験的なものを盛り込んだアイテムが登場します。 また別のお話の「虚数時間の遊び」や「金魚の人魚は人魚の金魚」では、人が生きられる時間の限界を遥かに超えた遠大なスケールの物語が描かれます。 全体を通して、あまり他で見ないマンガという媒体で成し得る様々な実験的な表現手法が沢山登場するのも特色。それもまた、小説の既存の作法を大きく逸脱した筒井康隆の野心的な文体と演出を髣髴とさせました。 物語と演出が上手く相乗して、読む者の想像力や知的好奇心を激しく刺激してくれます。そして、それが不思議な快感をもたらしてくれる作品です。 尖った作品や少し変わったマンガを好む方、あるいは哲学的なものが好きな方にはぜひとも触れてみて欲しいと思います。
詩野うら作品は「有害無罪玩具」とこれしか知らないけど、ショートショート的なSFで、特に発想が面白いものばかりで好き。 本作は神がいっぱいいる。 神という概念に関しても面白い考察というか仮説というか、設定がある。 気持ち悪い系の話や絵に頼ることもほぼなく、不思議な雰囲気でむしろ緩くなって不気味さも恐怖も主張しすぎない、ストーリーがしっかり入ってくる。 ふわっとしつつも、マンガ読んだ感を得られる。ショートショートやっぱり好き。