常に緊迫感がただよっているんだけど、赤ちゃんが出てきてから時間がゆっくり過ぎるような感覚もする読み心地でした 短めだけど映画一本分のドラマがあった。すごい読切りです。ゾンビとラガーマンを戦わせたのはナイスアイデア。
7歳で母を亡くし、父とふたりで生きてきた主人公の美穂。 母方の祖母には一緒に暮らすことを拒否されてから20年以上一度も会わずにいたけれど、病気療養中と知り祖母の家にしばらく住み込み始めます。 相変わらず冷たい態度の祖母と、なぜか以前から住み込んでいるという虫好きの大学講師・橋本との3人暮らしが始まります。 実の娘の結婚式や葬式にも出席しなかったという祖母に対し、特別な感情を持とうとしない美穂ですが、祖母の冷たい態度にはなにか理由がありそうだということがわかります。 美穂が昔見た狐の嫁入りの光景が、おばあさんの過去に関係があるのか、否か。美穂がこの地に再び訪れたことで何が起きるのか、続きを読むのが楽しみです!
※ネタバレを含むクチコミです。
ホラーをテーマにした読み切りが収録されています。ものすごく怖い話はなかったですが、面白い短編が読みたい人にはとてもオススメです。以下は作品ごとの個人的な感想になります。 田村由美「死人の記 -紫陽花にゆれる-」 怖さでいえばダントツで怖い。死んだ人がすぐには成仏せずにゾンビとして存在する町が舞台になっている。恋愛関係のもつれが発端になってる話は他にもありましたが、恨みのレベルが半端なくてまさに怨念って感じでした。 鯖ななこ「メッセージ」 結婚も決まり幸せな日々を過ごしていたが、家の中で四つ葉のクローバーを拾ってから怪奇現象が起こるようになった…。ちなみにクローバーの裏花言葉は「復讐」。タイトルの「メッセージ」はそういう意味だったんだ…!と分かるような終わり方も含めて、ストーリーがとても上手いと思いました。絵柄がとても可愛いです。 桜和アスカ「幻 -GEN-」 妻が原因不明の火事で亡くなったので過去に戻って放火犯を捕まえたいという客が、時を戻せる妖怪が営む喫茶店にやってくる。ザ・因果応報。悪いことはしてはいけませんね。設定がちょっと似てるだけですが「廻り暦」を思い出しました。 柳秋紀「たからばこ」 ピクニックをしているカップル。今日は彼女が子供の頃に両親が連れてきてくれた場所にやってきた。実は彼氏は浮気をしていて…。このストーリーに「たからばこ」というタイトルをつけるセンスがすごくいいと思います。怖いです。 花木アツコ「やもめの湯」 妻を亡くした男が同じくヤモメの老人が営む銭湯で働くことになった。いつもは廃油で風呂を沸かすが、お盆の日は特別なお客さんが来るからどうしても薪じゃなきゃいけないらしい。このあらすじで大体分かったと思いますが怖くはないです。むしろ感動しました。個人的には一番好きな話です。 白壁たくみ「昔の男」 画家だった祖父が亡くなった。葬式の夜に白いスーツを着た若くて美しい男が式場を訪ねてきた。遠い昔に祖父の絵のモデルをしたことがある男だった。祖父と男の秘密の関係に孫娘だけが気づくという美しい話だった。絵とストーリーも合っていて雰囲気ごと好きです。 ノラ38「ばいばい」 義母にいじめられて途方に暮れていた女の子に男が「一緒に街を出よう」と優しく声をかける。この作品は描き下ろしらしい。もしかしたら紙版にしかないかも。
自己肯定感がとても低くなっている時にこれを読んでいたら、オイオイ泣いてしまったと思う。主人公には「ちゃんとすること」を強要してくる親がいたけど、それでもそばでずっとちゃんと見てくれている人がいてよかった。 歩は最初は薄情な最低野郎だなと思ったけど、振り返るとお風呂掃除のくだりとか、考えてみればあれは最低野郎の行動じゃなかったなと気づくなど。 鯖ななこさんの漫画は面白いな。
「窓辺の春」は月刊フラワーズ2019年4月号に掲載された鯖ななこ先生による短編読切作品だ。 鯖先生は現状自著の発行がなく、また作品も月刊ないしは増刊フラワーズにしか掲載されていない。そのため、鯖先生を存じない方が多いと判断し、まず鯖先生の経歴を記す。(間違いがあればご指摘頂けると嬉しいです!) 鯖ななこ先生は月刊フラワーズ2017年8月号にて発表された第90回フラワーズコミックオーディションにて金の花賞(賞の位としては第2位にあたるが、金の花賞以上が出ることはそうそうない)を受賞、受賞作「最適な異性となる要因の主観的考察」が増刊フラワーズの同月号に掲載されデビューした。以降より増刊フラワーズでは短編読切を、月刊フラワーズでは定期購読の販促4コマを執筆されていた。初の連載作品は月刊フラワーズ2018年5月号より開始された「きょうのヤギさん」で、現在も続いている。「きょうのヤギさん」は先述の販促4コマの設定を汲んだ4コマショートで、物語形式の作品が月刊フラワーズ本誌に掲載されたのは2018年10月号の短編読切「おとぎの杜」が初めて。以降、いくつかの短編読切と短期連載作品「Hide&Seek」が発表されている。 この経歴は、例えばデビュー当時の岩本ナオ先生も同様に販促4コマ(「町でうわさの天狗の子」の巻末に収録)や短編読切・短期連載(「スケルトン イン ザ クローゼット」に収録)を執筆しているように、フラワーズ生え抜き作家の定番ルートといえる。ただし、4コマショートとはいえかなり早い時期から連載を任されているパターンは珍しく、ここから編集部から特に期待されている(悪い言い方だと囲い込まれてる)のでは?と察することも出来る。 「窓辺の春」に話を戻す。本作は月刊フラワーズで発表された作品としては2作目となる。自分は前作の「おとぎの杜」で鯖先生の読切をはじめて読み、もしかしてこの人のマンガはすごいのでは……?と思いはじめ、本作でそれが間違いでなかったことを確信した。 鯖先生作品では「主人公が失ったものや隠れていたものに気がつき、見方を変える」ということが多く行われる。その変化がもたらす心地よさが魅力だと思う。本作ではその上で主人公の行動が他のキャラクターに伝播していく様子が描かれており、より風通しのよい作品になっている。 個人的にビビっときたのは、(ややネタバレになるが)おじさんが清潔な身なりで出掛けるシーンがあるのだが、なぜおじさんがその格好をしたのかを、後のたった1コマで表していた点だ。そのほんの小さな、しかしあざやかな手腕に惚れ惚れした。 本作は決してスケールの大きい物語ではない。小さな物語だ。しかしながら、岩本先生などフラワーズの先達が描いてきたように、小さな物語によって表せるものはあり、それがフラワーズらしさを形作る要素のひとつだと考えている。その潮流に鯖先生は乗っていると思う。 絵柄については丸みを帯びた親しみやすい画風であるが、大胆なトーンワークなどグラフィカルな要素も多く含まれており、それが鯖先生らしい画面にしている。 先述の通り、鯖先生単独名義の自著は未だに発行されていない状況である。しかし現在も断続的に短編は掲載されており、直近だと月刊フラワーズ2020年7月号に短編「おしゃべりな人魚」を掲載予定だ。これを除いても、単行本一冊分のストックは十分にある。 ただし、フラワーズ新人の初単行本は、めちゃくちゃハードルが高いのか、それはもう全然出ないのだ。最後に出たのは2017年12月の笠原千鶴先生「ボクんちの幽霊」が最後だったはずで、つまりここ2年以上出ていません。 それでも、初の自著が出版されるのを自分は心より待っています……
ホラー7編を集めた読み切り集。田村由美の「死人の記」が断トツで面白かった。亡くなった後の人が生前の行動をなぞって動き続ける世界の話。簡単に言えば人を噛まないゾンビがいる世界という感じ。物語の緩急の付け方、オチへの引き込み方がすごい。
今どきの漫画でマジにバラ背負ってるナルシスト出てくるとは思わなんだ。逆にいいね。ストーリーはわりと単純で、極度のあがり症の女の子がイケメンだけどナルシストな青年に出会って、恋をして、自分を変えるという話。 でもところどころの演出に作者のユーモアが散りばめられてて、読んでよかったなと思えました。 連載目的で雑誌買ってますが、こういう読切に出会えると嬉しいですね。
常に緊迫感がただよっているんだけど、赤ちゃんが出てきてから時間がゆっくり過ぎるような感覚もする読み心地でした 短めだけど映画一本分のドラマがあった。すごい読切りです。ゾンビとラガーマンを戦わせたのはナイスアイデア。