ストーリー仕立てなので細かい用語よりも功利主義を身につけた人ならどういう思考をするか、というのが具体的にイメージしやすい。「最大多数の最大幸福」というと弱者が犠牲になるのでは?という気持ちになるが、それはベンサムが意図したこととは真逆であると知れたのも良かった。 トロッコ問題だったり、公衆衛生の問題はまさに現在のコロナ禍で問われたこと(限られた人工呼吸器を誰に回すか、ロックダウンなどの私権の制限が許される法的根拠は何か)だし、人種差別や性差別の話題も目にしない日はない。これを読む限りベンサムは必ずしも思考実験を好んではいなかったようだけど、倫理的なジレンマが起きたときに自分はどうするかという準備はしておいてもいいだろう。 自分の信条と近いこともあり、これをきっかけに3冊ほど功利主義についての本も買ってみた。
原著はKindle Unlimitedで読めるのだが、何度も数ページで挫折してしまっていた(括弧が多くて意味が入ってこない)。 このまんがシリーズは単に原著をなぞるのではなく、独自のストーリーを展開してエッセンスを伝えるという意欲に溢れたプロジェクト。アンドロイドに人格を持たせる設定で、カントが批判した合理論や経験論の限界を示し、それらを乗り越えるための思想を説明している。 わかりやすさ故にこぼれ落ちるものもあるだろうし全部を理解できた訳ではないが、社会生活を営む上で巻き込まれる様々ないざこざや悩みに対してすっきりした見通しを与えてくれると思う。
ストーリー仕立てなので細かい用語よりも功利主義を身につけた人ならどういう思考をするか、というのが具体的にイメージしやすい。「最大多数の最大幸福」というと弱者が犠牲になるのでは?という気持ちになるが、それはベンサムが意図したこととは真逆であると知れたのも良かった。 トロッコ問題だったり、公衆衛生の問題はまさに現在のコロナ禍で問われたこと(限られた人工呼吸器を誰に回すか、ロックダウンなどの私権の制限が許される法的根拠は何か)だし、人種差別や性差別の話題も目にしない日はない。これを読む限りベンサムは必ずしも思考実験を好んではいなかったようだけど、倫理的なジレンマが起きたときに自分はどうするかという準備はしておいてもいいだろう。 自分の信条と近いこともあり、これをきっかけに3冊ほど功利主義についての本も買ってみた。