ニンジャスレイヤー

ディスカバー・ジャパン!ディスカバー・ニンジャ!

ニンジャスレイヤー 田畑由秋 わらいなく 余湖裕輝 ブラッドレー・ボンド+フィリップ・N・モーゼズ ブラッドレー・ボンド フィリップ・N・モーゼズ 本兌有 杉ライカ 本兌有+杉ライカ
名無し

ディスカバー・ジャパン!ディスカバー・ニンジャ! ページの隅々からあふれだす「スリケン」「カチグミ・サラリマン」「スモトリ」といった謎の日本語に心を鷲づかみにされる『ニンジャスレイヤー』。ケバいアメリカ産のお菓子のような装丁で、本屋で異彩を放っていたこの『ニンジャスレイヤー』、コミック版も予想以上にぶっ飛んでいて、私もう夢中でございます。  『ニューロマンサー』がチバなら『ニンジャスレイヤー』の舞台は近未来のネオサイタマ(ちなみにネオサイタマは東京湾に浮かぶ“人工島”です)。犯罪組織「ソウカイ・シンジケート」が跋扈する「マッポー」の世にあって、超人的な身体能力を持ち「カラテ」と「ジツ」を操る超人的な「ニンジャ」は大企業の手先として数々の荒事をこなします。主人公は・ニンジャスレイヤーことフジキド・ケンジ。妻子をニンジャに殺され自身も重傷を負った彼は、今際の際にニンジャ・ソウルに憑依され、ニンジャを憎むニンジャとして生まれ変わります。  この、サイバーパンク好きにはたまらない設定と、確かなアクションシーンが否応なく気持ちを盛り上げるうえに、いわゆる、外国人の間違った日本観によってつくられたステキ世界&日本語が、これまでのエンターテイメント作品ではなかった、謎の娯楽性を発揮します。  物語冒頭、ソウカイヤニンジャのアーソンと、彼を襲撃したニンジャスレイヤーが対峙する緊迫したシーン、ニンジャスレイヤーはいきなり「ドーモ はじめまして ニンジャスレイヤーです」とオジギします。アーソンも「ドーモ ニンジャスレイヤー=サン アーソンです」とオジギを返します。このあいさつは、ニンジャの礼儀として古事記にも書かれていることで、決しておろそかにはできないのです!!  全くの別世界ではなく、日本と関係しているけれど実態とはまったく違うエキゾチック・ジャパンは、一度嵌り込むと止まらなくなります。女性主人公の一人称が「アタイ」。何かというと「ユウジョウ」を繰りかえすサラリーマンや女子高生。謎の「オリガミ部」……。  まるで、キリシタンに伝わるキリスト教が、永年の鎖国によって独自の信仰・カクレキリシタンとなったのと同様といってしまうのは、やっぱり言いすぎなようなのでやめますが、ガラパゴス進化のような楽しみを味わえる一冊といえましょう。

先月の新刊を語る会 【2019年1月発売新刊漫画】
ブラッドレー・ボンド/フィリップ・N・モーゼズ 『ハクメイとミコチ』(7) 樫木祐人 『いつも月夜に米の飯』(1) 小森江莉 『棚の上のなにか』 百名哲 『グヤバノ・ホリデー』 panpanya 『靴ずれ戦線 ペレストロイカ』(1) 速水螺旋人 『SHIORI EXPERIENCE ジミなわたしとヘンなおじさん』(12) 長田悠幸/町田一八 『ブレードガール 片脚のランナー』(1) 重松成美 『あなたに捧げる私のごはん』 松田洋子 『少女巡礼』(1) にしお栞 『異邦のオズワルド』(1) おかざきさと乃 『スキップとローファー』(1) 高松美咲 『金剛寺さんは面倒臭い』(3) とよ田みのる 『ライドンキング』(1) 馬場康誌 『漫画家さんのおいしいさしいれ』 いくえみ綾/池辺葵/磯谷友紀/久世番子/コナリミサト/早良朋/志村貴子/高野雀/谷川史子/猫とろ/ねむようこ/藤村真理/松田奈緒子 ほか総勢42人の女子漫画家 『北北西に曇と往け』(3) 入江亜季 『しまなみ誰そ彼』(4) 鎌谷悠希 『サクラコード』(5)(完)みなぎ得一 『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』(14) 谷川ニコ 『CITY HUNTER外伝 伊集院隼人氏の平穏ならぬ日常』(1) 北条司/えすとえむ 『うたかたダイアログ』(3) 稲井カオル 『付き合ってあげてもいいかな』(1) たみふる 『凛としてカレンな花のように』(1) ヒロアキ 『フラジャイル 病理医岸京一郎の所見』(13) 草水敏/恵三朗 『鬼滅の刃』(14) 吾峠呼世晴 『乙女怪獣キャラメリゼ』(2) 蒼木スピカ 『腐女子になって四半世紀経つとこうなる』(1) 御手洗直子 『転生悪女の黒歴史』(1) 冬夏アキハル 『前科者』(2) 香川まさひと/月島冬二 『侠医冬馬』(1) 村上もとか/かわのいちろう 『まめしばコ!の、いっしょう』(1) 一本木蛮 『春夏冬さんに呪われるっ!?』(1) 三ノ咲コノリ 『It’s MY LIFE』(アニメ化クラウドファンディング/描き下ろし小冊子) 成田芋虫 『さよならローズガーデン』(1) 毒田ペパ子 『マリッジパープル』(1) 林みかせ 『エコール・ド・プラトーン』(1) 永美太郎 『青色ストライプ』(1) 盛田賢司 『千歳鬼』(1) 小松万記 『ホウキにまたがる就活戦争』(1) 江戸川治 『恋せよキモノ乙女』(3) 山崎零 『ALL OUT!!』(15) 雨瀬シオリ 『針棘クレミーと王の家』(3) 唯根 『ガールズ&パンツァー プラウダ戦記』(1) 吉田創 『ラガーにゃん』(1)そにしけんじ/廣瀬俊朗 『天地創造デザイン部』(3) 蛇蔵/たら子 『電撃トラベラーズ』(1) 瀬川はじめ/オカザキトシノリ ■海外マンガ 『Dansker』Halfdan Pisket 『Moi, ce que j’aime, c’est les monstres』 Emil Ferris 『Les Chemins du Fantastique』 Guillaume Sorel 『A travers』 Tom Haugomat ■ムック本・雑誌など 『ザ花とゆめ無敵ガール』 https://www.hakusensha.co.jp/news/53964/ 『Spectator(スペクテイター)43号 特集:わび・さび』 http://www.spectatorweb.com/ 『SFマガジン2019年2月号 百合特集』 https://www.hayakawabooks.com/n/n92ff741b5e97
情報の提供お待ちしてます!
掲載している内容の誤りや、この著者に関するおすすめの記事、公式情報のリンクなどはこちらからお送りください。みなさまのご協力をお願い申し上げます。