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西暦3015年。人類は“空を飛ぶ”進化を遂げていた。ただし、私だけを除いて―――。旧世代(ドロップ)と呼ばれ、唯一空を飛べない少女・深海ツバサは、そのせいで散々な人生を送っていた。そんな過去をリセットしたいツバサだが、転校初日、同じく転校生の鷹月レンに“飛べない”ことがバレてしまって…!?私だけの世界だった、はずなのに――運命に立ち向かう、2人ぼっちファンタジーロマンス!(このコミックスには「片翼のドロップス[1話売り] episode1~final episode」を収録しております)
『墜落JKと廃人教師』のsoraさんが、並行して短期連載していた作品です。
舞台は西暦3015年。温暖化と海面上昇により海が地球の90%を占めるようになったころ、人類は建物をどんどん高層化しながら自然と空を飛べるように進化したという世界。そんな世の中で唯一空を飛べない人間、「旧世代(ドロップ)」として差別を受けながら生きるのが本作の主人公・深海ツバサです。
「飛べない人間って人間なの?」
とまで言われてしまう世界。階段が設けられている学校すら希少で、移動のために常にマイハシゴを持ち歩いているヒロイン。まず、この設定が独特で面白いです。独自の理がある世界で必死に生きるツバサは白泉社の良きSF感を覚えさせてくれます。
そんな彼女が出会うのは、何やら謎めいた事情を抱えているイケメン・鷹月レン。彼との関係性も見所です。
ファンタジックな設定ですが、ツバサの抱える疎外感や無力感は現実の私たちと地続きであり共感できるものです。そんな中でも、ツバサだから見ることのできる世界の美しさ・素晴らしさもある。設定を上手く利用しながら実に良いシーンを描いているところもあって、好きです。
soraさんの画力がそれらをより引き立てているのもありますし、1話と最終話の対比構造も綺麗で素敵な物語です。
巻末には短編の「アブダクション」も収録。命の危機にあるときのツッコミたくなるところへのツッコミが好きです。