兎来栄寿11ヶ月前編集寡聞にしてにじいろポッケさんの活動のことは詳しく知らなかったのですが、この時代においてとても素晴らしい取り組みだなと思いました。 タイトル通りの実体験をした原作者の四辻さつきさんによるエッセイマンガです。 二児の母で、旦那も激務であまり育児に参加してもらえず、常に「ママ」を強いられて、「私」も「私の居場所」も失くしてしまいストレスの限界を感じていた四辻さん。しかし、ある日出逢った深夜アニメの沼に一瞬でハマり、pixivで二次作品を漁り、語るためのTwitterアカウントを開設し生まれて初めて二次創作小説を書いて投稿して感想をもらうなど、推し作品によって生きる喜びと「私」を取り戻していきます。 子育てとオタク活動の両立。どちらかだけでも修羅場となるものなのに、両方やるとなればそれはもう大変でしょう。そんな辛さから始まりながらも、作品に救われオタク活動によって息を吹き返していく様子がマツダユカさんの魅力的な絵で描かれます。マツダさんは今まで主に鳥系の作品を描かれていましたが、人間も十分に魅力的でシリアスなシーンもギャグシーンも良いです。溢れるさまざまな感情が強く伝わってきます。 そして、四辻さんは遂に本を作って同人誌を発行するに至るのですが、そこで困ったのが子供たちのこと。会場には連れて行けないし、頼れる人もほとんどいない。そこで、世の中には同じように困っている人がたくさんいるのではないかと気付き、そんな人々のためのサービスを新たに創出していきます。 炎上するのが必至のサービス内容であったことからサービスの打ち出し方やレスポンスへの気の遣い方も非常に丁寧にやっていったことが解ります。根底にある動機(「同人活動死ぬほど楽しい」)によって困難を乗り越えていく姿なども含めて、良質なビジネスマンガとしても読めます。 とても良いなと思ったのが、「自分が楽しむために子供を預けることに罪悪感を抱くのは実体験として解るので、託児所を思いっきり楽しい場所にしてしまうことで子供も大人もハッピーになる」として、超巨大プラレールを設置する件。実際、楽しすぎて帰りたがらない子が続出したそうです。私も子供のころはプラレール大好きだったので、もし行ったら相当テンションが上がっただろうなと思います。自分が楽しんでいる時間に、子供も同じように夢中になって楽しむことができていたら最高ですよね。 同人イベントの空間に行くと元気になる人間のひとりとして、最高の取り組みで応援したいと思わせられました。 ひとりの育児に疲れた女性の物語としても面白いですし、シンプルに絵が良くて読みやすいので広くお薦めします。7わかるfavoriteわかるreply返信report通報
あらすじ2人の子育てに疲弊している限界ワンオペママの四辻(よつつじ)。子どもは可愛いけれど、「自分の居場所がない」「生きている感じがしない」と常にストレスMAXな日々。そんな時出逢った推しジャンルで、二次創作に目覚め、毎日が輝くように。次は同人イベントにいきたい、しかし子どもを預ける場所がない……。そして、周りのオタクママ・パパたちも育児のために自分の好きを閉じ込めている現実を知って……そうだ自分で作ってしまおう!続きを読む
寡聞にしてにじいろポッケさんの活動のことは詳しく知らなかったのですが、この時代においてとても素晴らしい取り組みだなと思いました。
タイトル通りの実体験をした原作者の四辻さつきさんによるエッセイマンガです。
二児の母で、旦那も激務であまり育児に参加してもらえず、常に「ママ」を強いられて、「私」も「私の居場所」も失くしてしまいストレスの限界を感じていた四辻さん。しかし、ある日出逢った深夜アニメの沼に一瞬でハマり、pixivで二次作品を漁り、語るためのTwitterアカウントを開設し生まれて初めて二次創作小説を書いて投稿して感想をもらうなど、推し作品によって生きる喜びと「私」を取り戻していきます。
子育てとオタク活動の両立。どちらかだけでも修羅場となるものなのに、両方やるとなればそれはもう大変でしょう。そんな辛さから始まりながらも、作品に救われオタク活動によって息を吹き返していく様子がマツダユカさんの魅力的な絵で描かれます。マツダさんは今まで主に鳥系の作品を描かれていましたが、人間も十分に魅力的でシリアスなシーンもギャグシーンも良いです。溢れるさまざまな感情が強く伝わってきます。
そして、四辻さんは遂に本を作って同人誌を発行するに至るのですが、そこで困ったのが子供たちのこと。会場には連れて行けないし、頼れる人もほとんどいない。そこで、世の中には同じように困っている人がたくさんいるのではないかと気付き、そんな人々のためのサービスを新たに創出していきます。
炎上するのが必至のサービス内容であったことからサービスの打ち出し方やレスポンスへの気の遣い方も非常に丁寧にやっていったことが解ります。根底にある動機(「同人活動死ぬほど楽しい」)によって困難を乗り越えていく姿なども含めて、良質なビジネスマンガとしても読めます。
とても良いなと思ったのが、「自分が楽しむために子供を預けることに罪悪感を抱くのは実体験として解るので、託児所を思いっきり楽しい場所にしてしまうことで子供も大人もハッピーになる」として、超巨大プラレールを設置する件。実際、楽しすぎて帰りたがらない子が続出したそうです。私も子供のころはプラレール大好きだったので、もし行ったら相当テンションが上がっただろうなと思います。自分が楽しんでいる時間に、子供も同じように夢中になって楽しむことができていたら最高ですよね。
同人イベントの空間に行くと元気になる人間のひとりとして、最高の取り組みで応援したいと思わせられました。
ひとりの育児に疲れた女性の物語としても面白いですし、シンプルに絵が良くて読みやすいので広くお薦めします。