クズ同士が別れを受け入れる話
タイトルにひかれて読みましたが、総じて読後感もなかなか良かった本作。上下完結なのも、無駄なくダラケることなく読めてよかったです。 さて、その内容ですが、兄の元カノに一目惚れした主人公。 だけど、その元カノは、重たいというかメンヘラ気質な女性で(自分のことを僕というボクっ娘だし。)別れたのに、コソコソと兄に付きまとう。 ストーカーとか、そういった言葉が近い感じ。 それを見兼ねた主人公は、惚れた弱みもあって彼女に協力し、彼女も協力に見合った報酬ー頭をなでさせるとかーを与える、という話。 それを称してゴミと呼んでいる。 最初のうちは、倒錯した愛情をみせられているだけですが、段々と、「別れ」をしっかり自分の中で受け入れるためのプロセスのほうに話がすすみ、それが良かったです。 下巻の2人のエピローグも相まって、最初の頃のドロドロした粘着質さが嘘のようにスッキリして、冒頭に書いたように読後感は良いです。 この手の話って、なかなか後味悪い終わり方をしたりしますが(それはそれで好きですがね)本作は違うので安心してお読みいただければと思います。
はじめは表紙の女の子「アキラ」の常軌を逸した粘着ストーカーぶりと、兄・界の元カノであるアキラにどうしようもなく恋してしまう優人の、重くて泥沼な恋愛模様…というイメージが強いのですが、読んでいくとそれだけではない話であることがわかってきます。
なぜアキラは界にここまで執着してしまうのか。
なぜ界は過保護なほどに弟を守ろうとするのか。
が、主に下巻を読むとわかるようになっています。上下巻一緒に刊行することにしっかり意味があるなと感じる構成です。
「そっか、こういうのでもいいんだ」とハッとさせられる展開と、愛し愛されるだけが人間同士の繋がりじゃないことをと再認識できた結末でした。