お隣さんとの距離感って難しい
※ネタバレを含むクチコミです。
小さな息子を連れて、新しい街に引っ越してきた希(のぞみ)。隣に住む「理想的な家庭」の主婦、千夏(ちか)と家族ぐるみで仲良くなるが、じわじわと千夏への違和感を感じていく。おかしいのは私のほう?それとも千夏のほう?幸せな家族に見えても、心の黒い穴は埋められない。『消えたママ友』『今朝もあの子の夢を見た』『人生最大の失敗』を描いたイヤミス・コミックエッセイの第一人者、野原広子最新作、雑誌レタスクラブ連載に加え描き下ろし64ページオールカラーで構成。
タイトルの赤い隣人、赤い屋根の家、赤系統の服…
対して、主人公一家は青色のアパート、服、カバン…
赤の他人のフリした人が一番こわい。
印象に残っているのは、旦那さんが妻の主人公に対してモラハラ男だったというところ。
夫婦でなく他人になったことで、モラハラ要素が見られなくなり、3人でほのぼの過ごせるようになったのは良かったねと思えてしまった。
離婚を伝えたときの子供の反応を考えると、主人公は子供に旦那さんを悪く言っていないと思える。
逆に旦那さんが奥さんに対してモラハラ言動をしているのを、子供は聞いていたはず。
外から見ると平和な家庭だったのに、誰かをけなして成り立つ、危うい生活だったんじゃないか。
それを知ってか知らずか、子連れ避難を『誘拐』と表現する赤いトートバッグの奥様。
トートバッグがない状態でも、率直にズケズケ人を評価するきらいがあるようで、主人公はそういう人を引き寄せる気質があるんだろうか。
とはいえ、子どもの無断連れ去り別居は、誘拐スレスレ案件。
子供だけ置いていなくなっても、また違うドラマが生まれるし、精神的DVを受けている状況で、どうするのが良かったんだろう。
悶々と考えてしまう。
野原広子さんのシンプルなイラスト、4コマ調コマ割りだからこそ浮き彫りになる、人間の内面の嫌な感じ。
旦那さんを悪く言うのは最後まで「赤の他人」というのも、最後まで赤でおもしろかったです。