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友繪の小梅屋備忘録

大正時代の台湾における食文化 #1巻応援

友繪の小梅屋備忘録 黒木夏兒 清水
兎来栄寿
兎来栄寿

近年、台湾のマンガが話題に上ることが多くなってきました。 昨夏には日本橋に「台湾漫画喫茶」ができたり、 『緑の歌 - 収集群風 -』が各マンガ賞で上位になって話題になったりしていたのも記憶に新しいところです。 最近では『モーニング』の『紛争でしたら八田まで』でも台湾編をやっていたこともあり、台湾への興味関心は高まっている昨今。 『千と千尋の神隠し』の舞台のような街・九份など、一度は行ってみたいなと思う台湾。 本作は、そんな台湾の食文化について大いに学びながら楽しめる物語です。 1920年代を舞台に、老舗料亭の娘である友繪(ともえ)を主人公として、まだ女将である祖母からはひよっことしか見られていない彼女の奮闘記が綴られていきます。 私も、料亭ではないですが300年の歴史ある旅館で働いていた経験から、いかに心を尽くしてお客様をおもてなしするか、予想のつかないアクシデントが起こった際にどう対処するかなど共感できる部分が多々あります。 「雑用なんて一つもないのよ」 といった言葉や、外国の方と接する際には拙くても努力して相手の言葉を使うようにすることで相手から信頼感を得ることなど、時代を経ても普遍的だなと感じました。 友繪が、家族や仲間に助けられながらさまざまな挑戦をして、ときには失敗もしながら少しずつ成長していく王道感も心地よいです。また、女将の過去にあたる料亭の成り立ちの物語も面白く、バックボーンがしっかりと語られることで全体が引き締められています。 愛玉や割包、鶏管や炸香蕉など現地で食べてみたいメニューがたくさん出てきてお腹が減りますので、ダイエット中に読むのは向かないかもしれませんが、そうでない方にはお薦めです。

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