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ぼくと仁義なきおじさん

痛みを知る者の優しさ溢れるコメディ #1巻応援

ぼくと仁義なきおじさん 百世渡
兎来栄寿
兎来栄寿

あらすじと表紙、あるいは最初の1話だけを読むと、かわいいものが好きという極道のギャップを少年目線で楽しみつつツッコんで行くコメディのように思われるかもしれません。 もちろんそういった要素もあるのですが、本作は話が進むごとにどんどん新たなキャラクターが登場して来ます。少年の保護者や同級生、年上のお姉さん、極道の舎弟……そのどれもが個性溢れる良いキャラであり、キャラ同士の掛け合いが非常に良い味を出しています。 性や職業、趣味などあらゆる要素を理由に人は人を攻撃しますが、本作のメインキャラクターたちの多くは、他者から迫害された経験、その悲しみと辛みを抱いています。どんな言葉を掛けられたら痛いか知っている。だから逆に、そんなときにどんな言葉を掛けられたら嬉しいかも知っているのが本作の主人公。その優しさによって、多くの人の心を開かせる様は読んでいる方の心もぽかぽかさせます。 本当は自分も同じようなことで人から傷つけられた経験を持つのに、自分も同じようなことを人にしてしまっていることに自覚的になる瞬間なども非常に上手く描かれており、色々な人に刺さるであろう内容となっています。 しかしながら、基調としてはコメディ。笑って楽しみながらも、時折心に沁みる話が出てくるバランスが非常に良いです。 たまに古風なネタや演出も出てきながら設定的には令和感溢れるハートフルコメディとして、広くお薦めできる作品です。『ロマンティック・キラー』に続いて、こちらもぜひアニメ化などして欲しいですね。

不揃いの連理

タイトルから見る"伴侶"の形

不揃いの連理
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

ここではタイトル『不揃いの連理』の語義と内容をリンクさせながら、(6巻までで)四組の女性ペアの関係を追う本作の魅力を書いてみたいと思います。 「連理木(れんりぼく・れんりぎ)」というのは、隣りあった木々の接触した枝や幹が一つにくっつき、木目まで混ざり合った状態のこと。そこから「連理」という言葉は二人の深い契りを表すのだそうです。 幸せな予感のある「連理」という言葉。では「不揃いの」という言葉はどうでしょう? 登場するペアは、いずれも全然タイプの違う二人。そしてどちらか片方、もしくは両方とも「ダメな人」だったりもします。 まっとうな会社員×元不良は見た目に反して、ダメなのは会社員の方。いかにも悪そうな人と優等生のJKコンビは、優等生が意外と暴力的etc……。でもそんな二人が何故か寄り添う。 ではそこにどんな心があるのか。 ある人に惹かれる理由を、言葉で言い表すのは難しい。でも、なぜある人の側にいるかは、理由を言える場合もある。 この作品でそれが分かりやすいのは、ダメな漫画家に接する生真面目な編集者。彼女は恋愛的惹かれの他に、ダメな漫画家を支える動機としての「ある気持ち」を持っている。そして同じようなものは、他の三組にも見て取れる。「ある気持ち」はおそらく頼りない人に対する普遍的な心情なので、納得する人は多いと思います。 「ある気持ち」で支え合い、接するうち、彼女たちはいつのまにか離れ難くなっていく。そこには理屈ではなく、もはや必然として一つになった連理木が生まれている。 伴侶って、こういうことだよな……大きな安心感とエモーションが同居する感じ。実はかなり暴力描写・しんどい内容も多いのにそれはとても不思議な感覚で、いつまでもこの物語を追う動機となってゆくのです。 ダメな人に対する、共通する「ある気持ち」......どんなものか、ぜひ本作から探してみてください。 さあ、まだ不穏な堅物教師×生徒の物語はどうなるかな? (6巻までの感想) (追記:実はマンバ読書会でリアルタイムで書いたものから、細かく改稿しています。どんなふうに変化しているか、ぜひ配信と比較してみてください! https://www.youtube.com/watch?v=FgBPuVvUHFI) #マンバ読書会 #クチコミを書く回

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