本格特撮百合マンガ「ヒロかん」始動!
悪の組織を追われた元怪人女幹部が女ヒーロー(※顔がいい)に助けられてイッパツで恋に落ちる。 展開に無駄がなくていいですね。そういうのでいい。そういうので。 そしてスーツや怪人のデザインが超秀逸で、「わかってる」感が滲み出ている。 特に主人公の颯ちゃんが変身する「ラピッドラビット」がめちゃカッコイイんですけど わかりすぎているがゆえに某ライダーとモチーフがドカブリする始末。 (※因果関係はないらしいです。当たり前だ!!) 個人的には敵対していた者同士がタッグを組むことのアツさを使って もうちょいシリアス展開も見たい気がするんですが 今のゆるっとイチャラブコメディの雰囲気も絶対的に維持してほしい…。 なんて贅沢な悩みだ! そういうのが全部盛ってあるカツカレーみたいなマンガです!ごちそうさまでした!おかわり!!
これは、悪の組織の女性たちの、変化の物語。
人間のネガティブな感情から生まれた彼女たちは、純粋に人間を滅ぼす意志だけの存在だったが、「個」の形をもつことで個性を獲得し、複雑な存在になる。
ヒーローの女性に惚れてしまった女幹部は、情欲に悶えながら、ヒーローの底抜けの優しさや真っ直ぐさに信頼を寄せ、変化してゆく。
下心と、精神性の両方で惹かれる……私もそんな恋をしてきた、と思い出す。
他の女幹部の二人は情を交わす中で「子供」を作り、家族の絆で主人公たちに対抗する。ここでは主人公たちの一方的な正義は崩れ、正義同士の争いが葛藤を生み出す。
彼女たちは笑い、泣き、欲望で動き、誰かを想う。その中で誰かは悪を漂白され、誰かは原理主義に染まってゆく。しかしそこには単純な「善」も「悪」もない。複雑な「個」がある。
私は最終的に誰かを憎むことができなくなる。それぞれの葛藤に、同調してしまうから。
そんな中で、悪の女幹部と情を通じたヒーロー女性は、百合を強力な推進力にして善悪の彼岸に到達する。彼女が見つける答えの大きさに、心が震える。
新しい次元の「強さ」を教えてくれる百合ヒーローものが、見事に完結した。