あらすじアンチノイド幹部による総攻撃を撃退したヒーロー“ラピッドラビット”こと本城颯と元女幹部の“ハニィ・トラップ”!「人間を傷つけていた自分が颯さんと並んで歩くには、Xを倒すしかない…」そんなハニィの不安を吹き飛ばすように颯は「私はハニィさんが好き!!」と告白、Xを倒さずに人間とアンチノイドの共存を目指すと誓う。しかし、深い絶望を知ったXは、すべてを破壊しようと動き出していた…。「正義」と「悪」を超えた先にある答えを目指すため!私たちの未来はここから始まる!
これは、悪の組織の女性たちの、変化の物語。 人間のネガティブな感情から生まれた彼女たちは、純粋に人間を滅ぼす意志だけの存在だったが、「個」の形をもつことで個性を獲得し、複雑な存在になる。 ヒーローの女性に惚れてしまった女幹部は、情欲に悶えながら、ヒーローの底抜けの優しさや真っ直ぐさに信頼を寄せ、変化してゆく。 下心と、精神性の両方で惹かれる……私もそんな恋をしてきた、と思い出す。 他の女幹部の二人は情を交わす中で「子供」を作り、家族の絆で主人公たちに対抗する。ここでは主人公たちの一方的な正義は崩れ、正義同士の争いが葛藤を生み出す。 彼女たちは笑い、泣き、欲望で動き、誰かを想う。その中で誰かは悪を漂白され、誰かは原理主義に染まってゆく。しかしそこには単純な「善」も「悪」もない。複雑な「個」がある。 私は最終的に誰かを憎むことができなくなる。それぞれの葛藤に、同調してしまうから。 そんな中で、悪の女幹部と情を通じたヒーロー女性は、百合を強力な推進力にして善悪の彼岸に到達する。彼女が見つける答えの大きさに、心が震える。 新しい次元の「強さ」を教えてくれる百合ヒーローものが、見事に完結した。