画力高し、話尊き、良い作品。
尊い。 腐ってない人もきっとそう思えるはず。 どこかシルクロードの田舎っぽさとアジアンな雰囲気の衣服などがミックスされた世界観に、穢れを払う役割を担った人身御供とも言えそうな習慣、「海がヤバい」ことで北欧バイキング的共通要素みたいなものも感じられる世界。 統一感というか、ギュギュッと詰まってみえるので、設定軸もしっかり作られてそうである。 最初は1冊で終わるものかと思って読み始めただけに、まさかの長編でよだれが。ありがたい。 人物描写の良さとか余白の使い方とか、細かい布地の生地感とか装飾とか、シンプルでもありつつしっかり存在感が出ていて良い。 構図も上手なんだと思う、集中して読みやすい展開。 そして何より物語が良い。好き。
舞台は黒い海に囲まれた島、覡(かんなぎ)として島に仕えるエルヴァは、夜になると海から現れる化け物から島を守るため、文字通り命を削りながら毎夜戦っていました。
ある日、エルヴァは村の少年・アルトと出会い彼に懐かれてしまうのですが、化け物との戦いで受ける"穢れ"がアルトと接することで癒やされていることに気が付きます。
この作品はそんな2人を中心に描かれるファンタジー作品です。
この作品は「from RED」というボーイズラブ系のweb雑誌に連載されている作品ではありますが、
作品の土台となる世界観やストーリーが本当に魅力的で、ファンタジーマンガとしてもオススメした作品です。
そしてそのファンタジーの土台の上で描かれる、島を守るために孤独に戦ってきたエルヴァと彼の運命を知りながらも思いを寄せていくアルトとの関係性は、その運命の苛烈さも相まって思わず心を惹かれてしまいます。
圧倒的筆致で描かれる物語は普段BLを読まない方にも読んでみてほしい、そんな作品です。
1巻まで読了