夏×高校生×SF!
※ネタバレを含むクチコミです。
時空を超えるトンネルに挑む少年と少女の夏 夏の日のある朝、田舎の高校生・塔野カオルはある都市伝説を耳にする。それは中に入ると年を取る代わりに欲しいものがなんでも手に入るトンネルがある、というものである。その名も「ウラシマトンネル」。その日の夜、散歩に出掛けたカオルは怪しい雰囲気漂うトンネルを見つける。恐怖を感じるカオルだったが、それと同時に興味を持ってしまう。「もしこのトンネルが本物のウラシマトンネルだったなら…」。ガガガ賞&審査員特別賞のW受賞を果たした大注目作品のコミカライズ!
原作は、ガガガ文庫でガガガ賞と審査員特別賞を受賞した小説で本作はそのコミカライズ版。
原作未読ですが、作画担当の小うどんさんの綺麗な絵柄にまず惹かれました。人物はカッコよく、またかわいく、そして田舎の夏の熱気や草いきれが伝わってくるような背景もまた魅力的です。
ストーリーは序盤から都市伝説のように流布されていた「すこしふしぎ」に近いSF的要素がミステリ感も持って描かれ、その謎を解き明かすべく動いていく展開に続きが気になります。
主人公・塔野カオルのキャラクターは複雑な家庭環境で育ったが故に典型的な主人公像と少しずれた部分があり、ライトノベルらしさも感じられる少し捻ったその設定が面白味に繋がっています。
また、ヒロインの黒髪ロング美人、東京からの転校生で何でもできる花城あんずの男の不良にも殴りかかっていく毅然とした強い性格も非常に良いです。青春SFでは魅力的なヒロインの存在は大事ですね。
裏表紙を見ると、今後は更にサブキャラクターの2人の男女にもスポットライトが当たって行きそうで楽しみです。
夏になると読みたい一作になるかもしれません。