ネタバレ
1980年代の高校男子バレー部物語

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ずっと読んでみたかったスポーツ漫画の名手・塀内夏子塀内夏子先生の作品Wikipediaによると週刊少年マガジンマガジンSPECIALにて1986年1号〜1987年2号まで連載されていたそうです。

中1の時に「ミラクルミラクルサウスポー」と呼ばれ注目を集めた主人公の河合は怪我で長期離脱し、2年になって復帰したらポジションを奪われていたことにショックを受けバレーから逃げ出す。
高2のときにひょんなことから弱小バレー部と関わって3年ぶりにバレーに復帰するという物語。

何よりびっくりしたのが主人公・河合が自信過剰なくせにナイーブで子供っぽい性格をしていること。
内心「(うわ何だこいつ…)」と思っていたら、途中扉絵のキャラ紹介で「ヘタしたらいじめられるタイプ。そうなるとあてつけに自殺するおそれがある」と書かれていて心底納得した。なるほど…。
悪く言ってしまったけれど、その子供っぽい河合が下手くそだとバカにしていたチームメイトと本当に仲間になっていく過程が、説得力をもって丁寧に描かれていてすごくよかったです。

少女漫画と少年漫画のコマ割りがバランス良く混ざっていて、迫力ある試合シーンに見開きを使ったりコマぶち抜いたり少年漫画的な表現が使われている一方で、少女漫画的なモノローグも多用して練習を通じて変化していく河合の心がっつりフォーカスフォーカスしています。
感情が丁寧に描かれているので読んでいてやっぱり惹き込まれるし、モノローグのおかげで作品にエモい余韻が生まれて良かったです。

余韻といえば、何よりエンディングが本当に素晴らしかったです。
河合が関森をいつも練習していた河川敷で見送るシーン。

「そうだあそこには たしかに生きた季節があった ぼくらのぼくらのバレーボールの根っこがある」
「いつか大人になっても大人になっても それぞれの道をいっても」
「いつかちがうトスを打っても」

もうこのセリフだけでジーンと来てしまいますね…。

2巻の最後に収録されている女子バレー日本代表を描いた短編『ミス・バレーボールミス・バレーボール』も面白かった。
(こっちは主人公とライバルの女同士の暴力込みでバチバチバチバチに本気でぶつかり合うところや、主人公のヘラヘラしてるのに実力は本物という性格が良かったです)

まだまだ未熟な高校生たちが、今この瞬間しかない青春時代をみんなで一生懸命同じ目標に向かって努力していく姿って良いものだなと思わされました。
他の作品も読むのが楽しみです。

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