電脳コイル

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ちゃおでコミカライズってびっくりしますよねー!でもよく考えれば小学校6年生の女の子の冒険と友情と恋のお話なので、読者層を考えればちゃおがバッチリという。

来年磯光雄監督の新作アニメも来ますし、ぜひ見返しましょう…!

2026年を生きる石川県大黒市の小学生になりたいにコメントする

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たか
たか
1年以上前
兄からのLINEによると、最近、10歳の野球少年の甥がメガネっ子になったそうです。 「メガネくんになっちゃった…」と、兄の文章からは心配しているのがよく伝わって来ましたが、当の本人はメガネをとても気に入っているようです。良い時代です。 私も兄も、幼い頃から筋金入りのメガネ。私はメガネのせいで幼稚園・小学校と嫌な思いをたくさんしたので、どんなにオシャレだろうとメガネの好感度がむちゃくちゃ低いんですよね。兄も同じだと思います。 こんな私のメガネに対するネガティブな印象をブッ飛ばす作品があるんですよ。 小学生の子どもたちが、電脳世界を見ることができるメガネを掛けて、デジタル技術を駆使しながら地方都市を駆け回る超おもしろカッコいい作品が。 『電脳コイル』っていうんですけど。 https://www.tokuma.jp/coil/ 自分が高校生のときに、NHK教育でやっていたのをたまたま見かけて「うわ絶対おもしろいじゃんこれ……!」と思ったものの、自室にテレビがなかったためにリアルタイムでは見ることを諦めました。(ただでさえ親と仲が悪いのにリビングで児童向けアニメを見る勇気なんてあるわけない) 大学生になってからふと思い出し視聴すると、これがもうマジでとんでもないおもしろさ(※)で、「これ小学生のときに観たかったな……」と、叶わぬ願いに血の涙がでそうになりました。小学生のときに観てメガビー撃ちたかった……。というか、欲を言えば2026年を生きる石川県大黒市の小学生になりたいです。 (※2007年文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞・第39回星雲賞メディア部門・第29回日本SF大賞受賞・第7回東京アニメアワードTVアニメ部門優秀賞など) そこからさらに10年ほど経った先週。たまたまアマプラで電脳コイルを見つけてイッキ見したら、当然やっぱり最高でした。 全26話鑑賞後、「もっと私に電脳コイルの世界を見せてくれ〜〜〜!!!」と、とりあえずAmazonで注文したのがこの『漫画版・電脳コイル』でした。 ▽電脳コイル | 小学館 https://www.shogakukan.co.jp/books/09131265    ◆ ◆ ◆ 「いや話全然違う〜〜!! リンクスって何!? えーーっ、すご…!!」っていうのが第一声ですね。 当たり前ですが、26話のアニメを全1巻(2話)に収めるため、設定に様々な変更が施されています。 ただアニメと過程は違えどおおむね同じ結果に収束するようになっていて、そこにまたSFっぽさを感じました。 奥付によると、この作品はちゃおの別冊ふろく描き下ろしだったそう。 この電脳コイルという、SF・冒険たっぷりのお話が全国の女児たちに届けられていた、という事実を噛みしめるとなんだか嬉しくなってしまいますね…嬉しい…! ▽当時のちゃお公式サイト(Internet Archives) https://web.archive.org/web/20070703201050/http://www.ciao.shogakukan.co.jp/kongetu/index.html 以下、アニメとの違いです。 【1話】 ・ヤサコは転校の初日に遅刻しそうになり「リンクス」というワープ装置を使ったことで、ミチコを捕まえようとしているイサコと出会う ・転校初日のクラスへの挨拶にはイサコも一緒で、教室で初めてフミエとダイチと会う ・イサコの両親は生きており離婚したことになっている ・ヤサコは前の学校でいじめられていた ・探偵局への依頼という形でフミエと一緒に行方不明の電脳ペットを探す ・ヤサコはイサコと一緒にクジラ型のイリーガルに飲み込まれるが、ヤサコだけ助かる ・ハラケンと一緒にリンクスを使ってイリーガルの中に戻りイサコを救出する 【2話】 ・ダイチの大黒黒客はイサコの支配下になっていない ・ダイチ親のことでからかわれ、仕返しのためにフミエたちに決闘を申し込む ・決闘で負けたら「夏休みの間ずっと下僕になる」のが条件 ・決闘の内容はヤサコの父の会社・メガマスが探している子どもたちのメガネに不正アクセスするイリーガルを見つけること(発見すると賞金100万円、情報提供で謝礼がもらえる) ・イリーガルは子どもたちのデータを元に(はざま交差点のような)電脳大黒市を作り上げており、イリーガルに襲われたフミエ・ダイチ・デンパの意識がそこから戻ってこれなくなる ・慌てたヤサコが父を呼んだことで「オバちゃん」と出会う ・イリーガルを捕まえるため、イサコ・ハラケンとともにヤサコは電脳大黒市へ向かう ・フミエやそのほかの子どもたちとカレーを作って食べる ・カンナに導かれて、子どもたち全員が鳥居がたくさんある神社を通って現実世界に戻る    ◆ ◆ ◆ イサコは両親が存命だからかアニメと比べて超凄腕という感じはなく、割と普通のツンツンしたクールな女の子となっています。また両親は離婚しているそうですが、その原因がお兄ちゃんの死なのではと想像してしましました。 親への可愛らしい不満を言っていたヤサコたちが、子どもだけで電脳大黒市に閉じ込められたことで、「自分ってまだまだ子どもなんだな…」と自覚するシーンがあるなど、小学校高学年の読者をしっかり意識して作られているなと感じました。 わかりやすさを重視し、キャラの感情の複雑なところやストーリーがシンプルにされています。 例えばハラケンは電脳大黒市の事件でカンナをお別れをすることができたので、「自由研究はやめる。みんなで楽しいことをしよう。学校最後の夏休みだから」というあの名台詞を物語の最後に言ってくれます。 こんな感じで綺麗に終わるのかと思いましたよね、アニメ観てて…。 終盤でこのセリフ聞いて、「やった! これでハラケン闇落ち回避か…!?」と喜んでいたら、いっきに不穏な展開に突き落とされましたからね……。そりゃそんなに簡単にカンナのこと忘れられるわけないってわかってたけど…わかってたけど…。 アニメの夏休みは痛みの連続で、最後はメガネを卒業して終わりなんですよね。子ども時代の終わり、人としての成長が描かれている。そこが本当に素晴らしいんですけど、でもやっぱりちょっと切なくて辛い…。 一方、漫画の世界は、このあと彼らには楽しい夏休みが待っているのが示唆されていて、明るい前向きな終わり方で癒やされました。アニメでは苦労したからこっちでは平和な暮らしが続いていくようで良かったです。 このマルチエンド感、やはりSFっぽい。 なお作者の巻末コメントのおかげで、脚本家・宮村優子さんによる小説(全13巻)が存在することを思い出しました。まだまだ電脳コイル楽しめるなんて本当にありがたい…!! 次は小説読むぞ〜〜!

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たか
たか
1年以上前
兄からのLINEによると、最近、10歳の野球少年の甥がメガネっ子になったそうです。 「メガネくんになっちゃった…」と、兄の文章からは心配しているのがよく伝わって来ましたが、当の本人はメガネをとても気に入っているようです。良い時代です。 私も兄も、幼い頃から筋金入りのメガネ。私はメガネのせいで幼稚園・小学校と嫌な思いをたくさんしたので、どんなにオシャレだろうとメガネの好感度がむちゃくちゃ低いんですよね。兄も同じだと思います。 こんな私のメガネに対するネガティブな印象をブッ飛ばす作品があるんですよ。 小学生の子どもたちが、電脳世界を見ることができるメガネを掛けて、デジタル技術を駆使しながら地方都市を駆け回る超おもしろカッコいい作品が。 『電脳コイル』っていうんですけど。 https://www.tokuma.jp/coil/ 自分が高校生のときに、NHK教育でやっていたのをたまたま見かけて「うわ絶対おもしろいじゃんこれ……!」と思ったものの、自室にテレビがなかったためにリアルタイムでは見ることを諦めました。(ただでさえ親と仲が悪いのにリビングで児童向けアニメを見る勇気なんてあるわけない) 大学生になってからふと思い出し視聴すると、これがもうマジでとんでもないおもしろさ(※)で、「これ小学生のときに観たかったな……」と、叶わぬ願いに血の涙がでそうになりました。小学生のときに観てメガビー撃ちたかった……。というか、欲を言えば2026年を生きる石川県大黒市の小学生になりたいです。 (※2007年文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞・第39回星雲賞メディア部門・第29回日本SF大賞受賞・第7回東京アニメアワードTVアニメ部門優秀賞など) そこからさらに10年ほど経った先週。たまたまアマプラで電脳コイルを見つけてイッキ見したら、当然やっぱり最高でした。 全26話鑑賞後、「もっと私に電脳コイルの世界を見せてくれ〜〜〜!!!」と、とりあえずAmazonで注文したのがこの『漫画版・電脳コイル』でした。 ▽電脳コイル | 小学館 https://www.shogakukan.co.jp/books/09131265    ◆ ◆ ◆ 「いや話全然違う〜〜!! リンクスって何!? えーーっ、すご…!!」っていうのが第一声ですね。 当たり前ですが、26話のアニメを全1巻(2話)に収めるため、設定に様々な変更が施されています。 ただアニメと過程は違えどおおむね同じ結果に収束するようになっていて、そこにまたSFっぽさを感じました。 奥付によると、この作品はちゃおの別冊ふろく描き下ろしだったそう。 この電脳コイルという、SF・冒険たっぷりのお話が全国の女児たちに届けられていた、という事実を噛みしめるとなんだか嬉しくなってしまいますね…嬉しい…! ▽当時のちゃお公式サイト(Internet Archives) https://web.archive.org/web/20070703201050/http://www.ciao.shogakukan.co.jp/kongetu/index.html 以下、アニメとの違いです。 【1話】 ・ヤサコは転校の初日に遅刻しそうになり「リンクス」というワープ装置を使ったことで、ミチコを捕まえようとしているイサコと出会う ・転校初日のクラスへの挨拶にはイサコも一緒で、教室で初めてフミエとダイチと会う ・イサコの両親は生きており離婚したことになっている ・ヤサコは前の学校でいじめられていた ・探偵局への依頼という形でフミエと一緒に行方不明の電脳ペットを探す ・ヤサコはイサコと一緒にクジラ型のイリーガルに飲み込まれるが、ヤサコだけ助かる ・ハラケンと一緒にリンクスを使ってイリーガルの中に戻りイサコを救出する 【2話】 ・ダイチの大黒黒客はイサコの支配下になっていない ・ダイチ親のことでからかわれ、仕返しのためにフミエたちに決闘を申し込む ・決闘で負けたら「夏休みの間ずっと下僕になる」のが条件 ・決闘の内容はヤサコの父の会社・メガマスが探している子どもたちのメガネに不正アクセスするイリーガルを見つけること(発見すると賞金100万円、情報提供で謝礼がもらえる) ・イリーガルは子どもたちのデータを元に(はざま交差点のような)電脳大黒市を作り上げており、イリーガルに襲われたフミエ・ダイチ・デンパの意識がそこから戻ってこれなくなる ・慌てたヤサコが父を呼んだことで「オバちゃん」と出会う ・イリーガルを捕まえるため、イサコ・ハラケンとともにヤサコは電脳大黒市へ向かう ・フミエやそのほかの子どもたちとカレーを作って食べる ・カンナに導かれて、子どもたち全員が鳥居がたくさんある神社を通って現実世界に戻る    ◆ ◆ ◆ イサコは両親が存命だからかアニメと比べて超凄腕という感じはなく、割と普通のツンツンしたクールな女の子となっています。また両親は離婚しているそうですが、その原因がお兄ちゃんの死なのではと想像してしましました。 親への可愛らしい不満を言っていたヤサコたちが、子どもだけで電脳大黒市に閉じ込められたことで、「自分ってまだまだ子どもなんだな…」と自覚するシーンがあるなど、小学校高学年の読者をしっかり意識して作られているなと感じました。 わかりやすさを重視し、キャラの感情の複雑なところやストーリーがシンプルにされています。 例えばハラケンは電脳大黒市の事件でカンナをお別れをすることができたので、「自由研究はやめる。みんなで楽しいことをしよう。学校最後の夏休みだから」というあの名台詞を物語の最後に言ってくれます。 こんな感じで綺麗に終わるのかと思いましたよね、アニメ観てて…。 終盤でこのセリフ聞いて、「やった! これでハラケン闇落ち回避か…!?」と喜んでいたら、いっきに不穏な展開に突き落とされましたからね……。そりゃそんなに簡単にカンナのこと忘れられるわけないってわかってたけど…わかってたけど…。 アニメの夏休みは痛みの連続で、最後はメガネを卒業して終わりなんですよね。子ども時代の終わり、人としての成長が描かれている。そこが本当に素晴らしいんですけど、でもやっぱりちょっと切なくて辛い…。 一方、漫画の世界は、このあと彼らには楽しい夏休みが待っているのが示唆されていて、明るい前向きな終わり方で癒やされました。アニメでは苦労したからこっちでは平和な暮らしが続いていくようで良かったです。 このマルチエンド感、やはりSFっぽい。 なお作者の巻末コメントのおかげで、脚本家・宮村優子さんによる小説(全13巻)が存在することを思い出しました。まだまだ電脳コイル楽しめるなんて本当にありがたい…!! 次は小説読むぞ〜〜!
群青のカルテ
精神科医の娘が自殺しかけた理由とは #1巻応援
群青のカルテ
兎来栄寿
兎来栄寿
『37.5℃の涙』の椎名チカさんの新作は、精神科医。 精神科医の夏島凛子(35)は、離婚して娘・悠里(15)の親権を持つ女性。悠里は父親との板挟みには遭っていながらも特に大きな問題なく学校生活を送っていると思っていたある日、悠里が突然ベランダから飛び降り自殺未遂を図り、気がつくと悠里の体に意識が入れ替わってしまったというサスペンスミステリです。 4月の新入シーズンで退職代行も話題ですが、名の知れた大企業のブラックさが露わになることもいまだに日々起きている昨今。本作でも1話からブラック企業で働かされ日々大きなストレスをかけられて病んでしまった女性のケースが取り扱われますが、さまざまな精神科の患者、また精神科に行くべき症状を持つ人の様子も描かれていきます。 実際に精神科医による医療監修も入れて描かれているということで、ケアが必要な人に対しての診断やかける言葉などは本格的です。 「もっと精神病患者が増えればいい」 と『Shrink(シュリンク)~精神科医ヨワイ~』でも言われていましたが、まさにその最初に行くときのハードルの高さ的な部分が描かれています。精神科に行くという行為自体が特別で恥ずべきもの的な意識がある方も多いかもしれませんが、作中のあるキャラクターのように「これは治るもの」という意識を持ててもっと気軽に病院に行くという選択肢が取れるようになれば良いと思いますし、そういう社会を形成していくことを助けてくれる作品です。 友人や知人にも仕事や人間関係の問題で心を悩ませて苦しんでいる人は多いですが、人の心があまりにも軽視され蹂躙されることもある社会で、どうか何より大切な命や心が脅かされすぎないようにして欲しいです。 悠里に何があったのかという物語の根幹の謎が強い引きとして作用しながら、個々のエピソードで人の心の動きに寄り添ってくれる部分が多々ある今の時代に価値を放つ物語です。
ふくふくまんぷく
江戸×人情×料理 #1巻応援
ふくふくまんぷく
兎来栄寿
兎来栄寿
歴史に詳しくなくても楽しめる、心温まる人情グルメマンガです。 江戸後期、文化文政の時代を舞台にした料理人の娘である「ふく」が主人公の物語。母親を亡くして家のことも父の手伝いも率先してこなす健気な偉い子です。彼女が最も興味を示すのは料理。料理本を読み漁って読み書きを覚えてしまったほど、料理にのめりこんで育ちました。 元々は殿様にも仕えて料理を作っていて、 ″お殿様でも棒手振りでも うまいうまいと毎日笑って飯が食えりゃァ それが一番幸せよ たった4文の串にだってそんな力はあるのさ″ という尊敬できる父親と何年も休みなく働いて、遂に念願の料理店を居抜きで開業したものの、宣伝が足りず閑古鳥が鳴き父親は急逝。 ふくは残った借金のカタとして、料理茶屋という名目で女の子たちが男性を接待する店で働かされることになっていきます。 なかなか逆境の多い人生ですが、父親譲りの技術と人を喜ばせたいという想いで料理を作れるふくが、さまざまな人の心を動かす料理を作っていくさまにはカタルシスがあります。始めは偏屈だった人も、ふくの作ったものを頬張った瞬間にそれまでにない表情を見せるのが痛快です。 巻末の参考文献の多さからも解るように、江戸の風俗や食文化を丹念に研究して描いているのが伝わってきます。実際に現代でも手に入る食材を使った料理の数々は、シズル感が強くて幕間ではレシピもマンガで描かれているので実際に作って食べてみたくなります。口の中でしゅわしゅわ溶けると評される霰豆腐など、いいですね。 また、一方で人間ドラマとしての魅力も大きい作品です。食べることは生きること。人が食をきっかけに生きる力を得るシーンもたくさん描かれていて、読んでいるだけでも胸が一杯になります。五話のエピソードなど、特に好きです。 タイトル通り、読むと福を得られた気分になれる作品です。時代的には女性が料理人をやるのには数々の困難があると思いますが、すべて乗り越えていってたくさんの人をますます笑顔にしていく料理を作っていくさまを見続けたいです。
薔薇なまいにち
このタイトルとこの表紙で #1巻応援
薔薇なまいにち
兎来栄寿
兎来栄寿
『まんまるポタジェ』や『魔女のてしごと』、『 天使にお願い』や『ビーズの指輪』のあいざわ遥さんの最新作です。 その情報と、このタイトルと少女マンガ的なかわいくファンシーな表紙や扉絵のメインヴィジュアルから一見して看破できる人はあまりいないでしょう。この物語の主人公こまちが、ギャンブル中毒の貧乏少女であるとは。 水原一平さんの事件もあり、今注目を浴びるギャンブラー。最近発売された『ヤングマガジン増刊カケヒキ』では、超人気ギャンブルマンガのシリーズ最新エピソードとなる「エスポワール前カイジ」が掲載されました。人間は根本的に、ランダムから快楽を得る瞬間が好きなんですよね。 特に2割以下の人は非常にギャンブラーに向いたリスクテイカーの遺伝子を持っていると一説には言われています。狩猟採集時代は定住していては枯渇する資源を得るべく、リスクを冒してでも新天地で獲物や食べ物を発見できた者が英雄であったためだとか。多くの人にはギャンブル中毒者のことが理解できなくても、それは生存戦略的に必要な資質であったというわけです。もしかしたら、こまちもそういう遺伝子を持っているのかもしれません。 そうして開始2ページで競馬でスり無一文で食うや食わずの生活をして家賃の支払いも滞りながらも優しい大家さんなどに助けられて何とか生きながらえていたこまちは、バラの育種農場でバイトをすることになります。 その農園にいた育種家の青年・園生は、あけっぴろげな性格のこまちとは対照的に対人スキルに乏しく、しかしバラへの情熱は揺るぎないもの。そんな不思議な凸凹コンビが、まだ見ぬ新種のバラを生み出そうと奮戦していく物語です。 まず、バラの育種というテーマが珍しくて面白いです。そもそもどうやって育てているのか、バラごとにある特徴や高く評価されるためにはどうすればいいのか、ミステリーローズとは何なのかなどなど、読んでいて楽しくなる知識が満載です。 また、主軸となるふたりのキャラクターがとても立っていて、どちらも難があるもののこのふたりの掛け合いだけでも永遠に楽しく物語を引っ張っていけそうだなと感じました。 時折ギャンブルも交えながら展開していく異色の作品となっており、バラの育種に興味がある方、ギャンブラーのヒロインに興味がある方、少し変わった少女マンガを読みたい方などにお薦めです。
れいしょくガール!
冷食グルメ×少女マンガ編集! #1巻応援
れいしょくガール!
兎来栄寿
兎来栄寿
皆さんは普段、冷凍食品は食べますでしょうか。私は10年前くらいに食べたとある逸品で完全に冷凍食品を見る目が変わってしまい、それ以来冷凍庫には常に常備してあります。忙しい時には調理の簡便さがありがたく、それでいて最近のものは味も良いものが多いです。冷凍茶豆やブロッコリー、ブルーベリーも愛食していたのですが最近はそれらも高くなってしまって物価高を感じます。 タイトルと表紙から想像される通り、冷凍食品に特化したグルメマンガです。ただ、それに加えて入社1年でまっく興味のない少女マンガ編集部に異動になってしまった青年・聖と彼の教育係である宇津木のふたりを中心とした、編集者マンガとしての側面も持ち合わせています。少女マンガのことを微塵も知らないところから、巨大な同人イベントで出会った作家さんの同人誌に心惹かれて担当し、一緒に作品作りをしていくまでに成長する姿は、胸が熱くなります。 登場する冷凍食品は、実在するものばかり。名だたるメーカーの協力のもとに描かれており、そのまま食べてももちろん美味しいのですが料理のできる聖によってアレンジを加えられるレシピも見所です。エビシューマイから作るエビチリや、チャーハンクッパなどはとても美味しそうで実際に作ってみたくなります。 また、グルメマンガといえば食べる際のリアクションがクライマックスですか本作では毎回少女マンガにありがちなシチュエーションで美味しさや味わいを例えられるのが特徴的で面白いです。 キャラクターとしては、マンガ好きでエビ好きの黒髪ロングストレートつり目美人の宇津木さんを私が推さないわけもなく。 ″ 冷凍食品は「手抜き」じゃなくて「手間抜き」なの!″ などのセリフに表れる、冷食愛の強さも良いです。彼女と聖の間に芽生える、まさに少女マンガ的な関係性にもにっこりしてしまいます。 味の素の海老大餃子、見つけたら買い込みたいです。
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