名無し

異世界女子寮というタイトルにはなっているが、読んでみるとこれは「異世界のよつばと」を目指しているのではないかという気がしている。
 
 
主人公のいおりホムンクルスであり、とある魔女の使い魔として働いている。
それがちょっとした事故でモン娘たちの住まう女子寮に転送されてくる……という部分が1巻の導入となっている。
 
 
しかし何というか、他の女子寮のモン娘といおりでは立場が違う。彼らは住人であるが、いおりは突然の来訪者なのだ。
一緒に生活するという意味では寮らしさはあるが、いおりは使い魔なので家事は得意で進んでやってしまうから、役割分担のような共同生活感はそんなにない(それを逆手に取ったエピソードが1つあり、個人的にはそれが好き)。
 
 
恐らくではあるが、この漫画の魅力は「女子寮」的な要素ではない。
ホムンクルスとして生まれ、魔女の使い魔として生きたきた幼く純粋ないおりを通して、女子寮を中心とした異世界はどう見えるか……というものを読者に伝えたいのだと思う。
 
 
それはよつばというフィルターを通して何気ない日常の魅力を見つけることができる、「よつばと」の世界に近いものがあるだろう。
 
 
いおりは飾らず、毎日を全力で生きている。それはもう、読んでいるこちらが「毎日快眠だろうな」と思ってしまうくらいに(精神的に不安定になる日はあるようだが)
 
 
真っすぐに、そして素直に生きているいおりだからこそ、ちょっと困っているモン娘たちにシンプルな答えを教えてあげるということが、この漫画では随所に見られ、そこが「良いなあ」と思えるポイントなのだ。
 
 
普段ラミアのニア以外はすました顔が多いモン娘たちが、いおりと関わることで普段とは違う顔を見せ始めるのも面白いポイントの1つだろう。
 
 
自称エリートのケンタウロスがいおりに名前を呼ばれた直後にツンデレを披露したり、寮の住人から苦手意識を持たれていたアキの秘密を結果として明らかにし、作中1番の赤面顔を引き出したり。
 
 
いおりというフィルターを通すことで、異世界の日常もキャラクターもまた輝き出すといったところだろうか。
異世界は非日常ではあるが、これまで数多く描かれてきたところになろう系が流行ったことで、もはや開拓されていない場所はないというくらい異世界は日常化していると感じている。
そういう意味で、「異世界のよつばと」というコンセプトは、なかなかに面白いと思う。
 
 
……「異世界のよつばと」なんて、この口コミで勝手に書いていると思われるのは心外なので書いておくが、帯はかなりよつばとを意識していると思う。


 
 
同じ電撃系のコミックスなわけだし、タイトルは無理でも帯で「異世界のよつばと」ってもう書いちゃってもよかったのではないか。
許可はまあ……降りないだろうが。
 
 
ここまで書いて、「でも漫画は結局キャラだよ!」という人には、イマイチ本作の魅力は伝わっていないかもしれない。
ここでいおり以外のキャラについて書くよりは、画像を見て判断してもらった方が良いだろう。
公式(というか担当?)はモン娘の中でもケンタウロスを推しているようだ。

 
 
ただこのモン娘、表紙での扱いはなぜか小さい。作中唯一の読者代表的なツッコミキャラで、ポテンシャルはとても高いと思う。個人的には彼女の魅力をもっと引き出して欲しい。
 
 
最後に1つ、この作品の謎を書いておく。
彼女たちは学校に通うわけでもなく、どこかに勤めている雰囲気もない。
一体、何のための「女子寮」なんだ……。
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_AM19201437010000_68/

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異世界女子寮 使い魔いおりとモン娘たちの365日

いせかいじょしりょうつかいまいおりともんむすたちのさんびゃくろくじゅうごにち
著者:あかうめ
最新刊:
2020/10/24
いせかいじょしりょうつかいまいおりともんむすたちのさんびゃくろくじゅうごにち
異世界女子寮 使い魔いおりとモン娘たちの365日 1
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