恋する瞬間、泣いちゃうんだ。
何で人を好きになると、泣きたくなるんですかね?……いや分かる、何となく分かるんだけど、その理屈はやっぱり、分からない。 雨隠ギド先生の代表作『甘々と稲妻』では、幼子のつむぎちゃんの、大粒でぼろんちょと溢れる涙が強かった。ゴチャゴチャ思惑が入り混じり澱んだ挙句、感極まって流す涙には、一切不純物がないのです。 『終電にはかえします』は、女性同士の恋愛感情の短編集。こんがらがったお姉さん達が、恋心に気づいたり、感情が止められなかったり、拒絶されても受け入れられても、思わず感情と共に溢れる涙が印象的。 どんな面倒な背景や昏い感情があっても、恋に踏み込む瞬間、流す涙はやっぱり純粋で、それ故に心を持っていかれる。涙って、ずるいなぁ……でもそれがいい。 涙も含め、複雑な関係性の中からピュアな感情が生まれる、百合短編集です!
甘々と稲妻でお馴染み、雨隠ギド先生の百合漫画です。BL作家の描く百合漫画は間違いない説を私のなかで打ち立てた一冊。
短編集なので誰しもお気に入りの一話が見つかることでしょう。個人的には表題作「終電にはかえします」が大好きです。ミスコンに自ら出るような女の子(これで思考や性格がある程度つかめるキャラ設定の天才)あさきが、ヤンキーのような見た目で無愛想な後輩、ツネの可愛さに気づくシーンは今まで数多読んだ百合漫画のどれも超えられていません。女の子が女の子に恋をする瞬間、最高なので読んでください。