いつの時代かもどの場所かもわからないー。
印象的なモノローグで始まる本作、先進技術が登場する割に貴族階級や剣術が幅を利かせていたり『スター・ウォーズ』を彷彿させる演出や設定がちらほら。
登場する国は支配国家グロマンと被支配国家のククリット。
ククリットの貴族令嬢として育てられた主人公エミヤですが、実はグロマンの王女プライム・ローズだということが判明します。その出自を持ちながらも圧政を敷くグロマンへ反旗を翻す…というのが物語の大まかなスジ。
特に中盤以降砂漠でエミヤに戦闘訓練をつける師匠のジンバがいい味を出してます。個人的にはこの砂漠編の岩肌や岸壁の表現を見るだけでも本作を読む価値があります。異世界の不思議さ、過酷さが際立つ背景描写は迫真性がありました。
「お転婆美少女エミヤがプロテクターを着込みカッコよく剣を振るのを楽しんでくれ!」という分かりやすいコンセプトにSF、ロマンス、政争、アクション、成長物語と要素がゴリゴリ盛られていくのが特徴でしょう。
確かに少々とっ散らかった印象は受けますがエネルギーはすごいです。先の予想が出来ないという意味では最後まで面白く読めました。ちらっと余計なことを言うとジョジョ6部が好きな人に読んでみてほしい。
ちなみに終盤にさしかかるとククリットは過去の九十九里浜(そのまま!)、グロマンはアメリカ・ダラスがそっくり転移してきたものだと明かされます。こっちは『猿の惑星』ですね。
手塚治虫作のスペースオペラ、他にも読んでみようと思いました。
ククリット王国とグロマン王国は和平のため、お互いの生まれてまもない王子と王女とを交換した。グロマン王国の王女、プライム・ローズは、エミヤという名前になり、ククリット人の家庭で大切に育てられていたが……!?
ククリット王国とグロマン王国は和平のため、お互いの生まれてまもない王子と王女とを交換した。グロマン王国の王女、プライム・ローズは、エミヤという名前になり、ククリット人の家庭で大切に育てられていたが……!?