ここで終わりなのが切ないなあ。にコメントする
マイ ベイカー
全2巻に仕事と恋がギュッと詰まったベーカリーラブ!
マイ ベイカー らくだ
天沢聖司
天沢聖司
今夏の漫画原作メディア化作品をチェックしていたところ、表紙だけは知っていたこの『マイ ベイカー』の名があり、Kindle Unlimited作品だったので読んでみました。 ちっちゃいけど綺麗でパワフルな店長と、でかくて寡黙な6歳年下の新人バイト・北くん。 憧れる人は多いものの、実際は5時起き21時就寝、何十kgもある粉を運び、熱い天板でやけどし、食品を扱うため衛生管理も厳格で超過酷な仕事場である『パン屋』が舞台。 ガタイのいい北くんは、見た目に反してパンを可愛く仕上げる才能があり、しかも実は店長のことを昔から知っていて…というあらすじ。 https://twitter.com/comicgene_line/status/992238458725789697?s=20 そこで2人の距離が縮まっていくわけですが、この過程がすごくリアル! 絵柄は少女漫画っぽいですが、流石女性漫画だけあって恋の描写がくどくない。いい…! 学生が主人公の少女漫画は頻繁に『トゥンク』したり『カアァァ』ってなったりして、初恋に揺れる感情にページを割きがちですが、働く大人の女性(しかも店長)のお話なので、ラブは見せ場を絞って投入している程度に留めていて、そこが大人の恋愛という感じがしていい。 というか、どちらかというとトゥンクしてるのは北くんの方ですね…それもまたいい。 混入を防ぐため販売員でもシャープペンの使用はNGとか、蛍光灯替えると粉が降ってくるとか、焼きたてのパンを手で触るやばいババアがいるとか、パン作り以外の仕事の苦労も描かれていてとても勉強になりました。 ちっちゃい体でガンガン重たい荷物を運び、火傷にもへこたれずいつも笑顔で働いている店長。「ああ、仕事に情熱がある人ってこうだよなぁ」と、清々しい気持ちになれる素敵なお仕事ラブです! (画像は『マイ ベイカー』らくだ1巻より。このクリームがコマをまたぐ演出めっっちゃ好き)
じゃあ、あんたが作ってみろよ
アップデートというよりも根本のお話
じゃあ、あんたが作ってみろよ
野愛
野愛
見た目も収入も申し分ないけどモラハラ気質で古い男が、恋人にフラれたことをきっかけに自らをアップデートしていくストーリー。 恋人が仕事終わりに作ってくれたご飯に、色味がどうだ出汁がどうだバランスがどうだとケチ(アドバイス)をつけ、そりゃプロポーズしてもフラれるわ!ざまあみろ! と思うものの、ちゃんと傷つきちゃんと学ぼうとする姿を見るとだんだん応援したくなってくる。 そして変わろうとするのは何も男ばかりじゃない。勝男をフった鮎美も、自分が本当に好きなものを見つけ人生を変化させていく。 読んでいくと2人はお似合いのカップルだったんだなあ、と皮肉じゃなくて本当に思う。 理屈じゃなく惹かれあった男女が、結婚という目的や男と女という役割に縛られてお互いが見えなくなっていく、なんて悲しい話。 そうさせているのは世間の空気や常識や今まで歩んできた人生など要因は様々だけど、「わたし」と「あなた」だけをしっかり見ていれば起こらないはずなのになあ……。でもそれが難しいんだよね。 勝男と鮎美の人生が再び交わるかどうかはさておき、2人もわたしもみなさんも、自分と相手の好きを大切にして人間関係を築いていけたらいいなと思った。
ミカコときょーちゃん
ラブストーリーが突然に #1巻応援
ミカコときょーちゃん
兎来栄寿
兎来栄寿
映画化もされた『殺さない彼と死なない彼女』の世紀末さんが、新たに描く男女のお話です。 最初は、ひたすらゆるいカップルがいちゃいちゃしている4コマなのかな? と思いました。お互いに相手のことを無限に「かわいい」「かっこいい」と言い合う、仲睦まじいきょーちゃんとミカコさん。日常の些細なことを楽しんだり、煩わしく思うことも世界でたったひとりの相手がいれば何でもなくなってしまったり。 代え難い、ただひとりの相手。ずっと一緒にいたいと思える相手。でも、そんな最愛の人がある日突然世界からいなくなってしまったら。 誰しもいつ何が起こるかわからないものだとわかってはいても、実際にそういうことが起きてしまった時には人はどうしようもなくなります。受け入れるのにどうしたって時間はかかるし、一生受け入れられないままかもしれません。 どこにでもありふれたふたりのカップルのやり取りは、ひとつの出来事を境にまったく意味を変え見え方を変えてしまいます。ただ、少なくとも心から自分の幸せと笑顔を願ってくれた相手と他愛もない時間を過ごすことができたという事実は永遠に残ります。 どうでもいいようなこと、明日には忘れているようなことのひとつひとつの欠片が何よりも貴くてかけがけのないものであるということを、改めて示してくれているようです。 今なら当たり前にできることが、いつか当たり前にできなくなってしまう。当たり前ではなくなってしまう。そうなる前に今できることをひとつひとつ大事にして、何でもないことを大切にして生きていきたいと思わせられる物語でした。
いま、インドによばれて
新天地インドで生きたいように生きていく #1巻応援
いま、インドによばれて
兎来栄寿
兎来栄寿
宮川千賀 現在、世界で最も人口の多い国はどこでしょうか? 中国。 と言えたのは去年までの話で、2024年現在はインドが中国を抜いて1位となっています。数学に強い国民性もあり、今後インドから超巨大IT企業も続々と誕生していくのではないかと期待されています。私自身もインドの将来性に期待して少しばかり投資をしていたりもします。 本作は、そんなインドに恋人の都合で連れてこられた漫画家志望だけど、28歳フリーターのなつめの物語。 なつめの彼氏は、なまじ稼ぎが良い出世頭なだけに、なかなか芽の出ないなつめに対して家事を無意識的に強要してしまう前時代的な価値観の持ち主。 もやもやとした感情が蓄積していたところにアニメやマンガが好きで日本語を覚え、タクシードライバーとして働いているルビーとの出逢いが彼女の人生に大きな転機をもたらしていきます。 「女だから」という理由で未来を閉ざされてしまい、自分が本当にやりたいことをやれない悩みや辛さは万国共通。日本にいると自由奔放に見える国であっても、蓋を開けて見ると思いもよらないきつい縛りがあったりします。まだまだ古い価値観の残るインドでは、女性の権利や立場は今後の変化に期待するところも大きいです。 中盤で登場するアニメ制作会社のCEOビジャヤや、インド在住25年目のさつきらもまた社会において女性であることから抑圧を受けてきた者たち。そうした逆境に立ち向かって戦ってきた彼女たちの姿に勇気づけられる人も多いことでしょう。女性はもちろんですが、さまざまな理不尽を押し付けられてきた人は共感できるのではないでしょうか。 インドマンガとしても楽しめる部分がたくさんあります。 先日、『地元最高!』の作者の方がガンジス川に入って倒れたというニュースがありますが、作中にまさにこれではないかという描写が登場します(お大事にして続きを描いていただきたいです)。 またチャパティを使った家庭料理を作るシーンや、盛大に行う結婚式での写真など文化を感じられれるところもあれば、世界遺産のタージマハルにまつわるエピソードも印象的でした。クトゥブ・ミナールやアグラセン・キ・バオリなどの名所、インドのアニメ・マンガイベントの「デリーコミコン」なども行ってみたくなりました。 前を向きモチベーションをもらえる本筋と、濃厚なインドの香が立ち上るような描写が上手く融合している作品です。
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