大長編ドラえもん 藤子・F・不二雄
【アマプラ】「映画ドラえもん」40作品どれ見るべき?
当時はおもちゃの街を作って遊びに行くビジュアルがワクワクの大部分を占めてましたが、おとなになって読むとまた違った感想になりますね。
『ねじ巻き都市冒険記』はのび太たちが「入植」をする物語だと言えます。豊かな星を発見し、住人を住まわせ、理想の街を作り上げていく…。
ねじ巻き都市の住民たちが環境への影響を考えて開発を行うようジャイアンを諭すシーンは象徴的です。無邪気なやり取りですが、開拓は破壊と表裏一体であることが鋭く指摘されています。
このおもちゃの住民たちに知恵を与えたのが「種をまく者」と名乗る超常の存在です。
宇宙に生命の種子をまいたこの存在は自然を荒らすことを好ましく思っておらず、のび太たちにも忠告を与えます。
高次存在と生命のあり方についての問答で渡り合うのび太、SF主人公としての風格がすごくて大好きなのですが、その甲斐あって「星を守る」ことを託されるのです。
環境問題や自然保護から敷衍し、星の生命を守ること…。
非常に高度なテーマだと思うのですが、誰が読んでも腑に落ちるように描かれているのが本当にすごいと思いました。
ヒトがこれからも地球に住む以上避けては通れない命題であり、藤子F先生が手掛けた最後の大長編が本作だというのも格別の重みがあるように感じます。