絶望と希望を胸に滅びゆく世界を生き抜く物語 #1巻応援
永遠の陽射しの屍 森田将文
世界にゾンビが現れて半年が経過した世界。
街はすでに壊滅状態で、生存者はほとんど残っていません。
そんな中で息を潜めて暮らしている主人公の三倉。
彼がある日食料を求めて民家に忍び込むと、そこには1人の女の子が。
驚いた三倉でしたか、その女の子・ゆゆと話していると、彼女のお母さんが感染してゾンビになってしまっているらしいと察します。
しかし、そうこうしているうちにそのゾンビ化したゆゆのお母さんが現れてふたりを襲い始めます。
なんとか逃げ出した御蔵でしたが、襲われた時に傷を負ったことで自分も感染してしまったということを悟ります。
この作品は自分が完全にゾンビになって自我を失う前に余裕を安全な場所まで 連れて行くと誓った御蔵 の様子を描いた物語です。
ゾンビものといえば「噛まれてしばらくするとゾンビ化して自我を失ってしまう」という作品が多く、ゲームの「バイオハザード」シリーズの主人公のように耐性を持っているためにゾンビ化しない作品、「空腹なぼくら」のようにゾンビになっても自我を残している作品などもありますが、この作品は本来であればすぐにゾンビ化するところをなぜか主人公の三倉はゾンビ化せず、ただ確実にゾンビ化は進行しているという状態です。
そのため、ゆゆを連れて生き延びるという既に目の前にある試練に加えて、自らがゾンビ化してしまう前になんとかゆゆを安全なところまで連れて行かなければならない、というタイムリミットのある試練が三倉には課せられています。
その結果、物語により緊迫感が生まれるとともに、自分が遠くない将来にゾンビ化してしまうだろうこと、いつゾンビ化してゆゆを襲ってしまうか分からないこと、などいろいろな要素が絡み合った三倉の複雑な心境が描かれる作品です。
1巻まで読了
永遠の陽射しの屍
ゾンビだらけの世界で、半年間自分ルールを守りながらひとりで生き延びていた青年・三倉は、食料を探しに侵入した民家でひとりの少女とその母親に出会う。しかし、少女の母親はすでにゾンビ化しているにも関わらず、母としての意識が残った状態だった。
一度ゾンビになったが最後、元に戻ることは不可能。ふたりの壮絶な別れを見送ったあと、三倉は少女とともに家を出ます。
少女に出会ったことで新たにわかった事実。ゾンビに傷つけられてもすぐにゾンビ化しない場合もある。いま自分の首にある傷がその証明になっている。
いつかは自分もこの子を傷つけるかもしれないと思いながら、どうにかして生き残るための日々が始まりそうです。